だめっ、たまんない。




物心ついたころから格闘技、柔道、空手、護身術

などの武道を習い、


気づけば松野家専属の護衛、俺の父の仕事を受け継いでいた。




俺は何かをしたいと思ったことがなかった。


これがしたいとか、あれがしたかったとか。


父が選ぶ道を選んだ。


言われた方にだけ進んだ。


それなのに、松野家の会長の護衛についたのは弟だった。



生まれて初めて、自我が生まれた。


弟が憎いって、。


もちろん父には伝えてない。


弟は、離婚した母が引き取った子だった。


顔を合わせたこともなかったが、俺と瓜二つだった。



そして、父も、母もそして彼も美形だった。驚くほど。



会長護衛の座を取られた俺は、

社長(御曹司様)の護衛を任された。


納得いったもんじゃなかったけど、仕事であり、

給料も貰う。




でも、御曹司に会ったとき。


世界が変わった。


「蛹と言ったか、?」


「はい。」


お互い無表情のため他人から見たら

さぞ怖かったと思う。


でも、表情を作らないのは苦手なだけ。


今では御曹司様、松野仁とは1番の親友であり、

尊敬する社長である。


そんな社長が先日、女を拾ってきた。



今までの商談などの経験から、

仁は人を信じることが苦手だと悟っていた。


松野家に入ろうとする人物がいれば、

徹底的に身分を探る。


それなのに、人を拾ってくるなんて。


しかも、それなりの美人。


16らしいが、背丈と童顔の顔からは感じられない。



その彼女を今日、追跡するのが俺の役目。


今からどこに行くのか、彼女は誰なのか。


情報が少なすぎてわからない。




でも、俺はとりあえず仁が拾った彼女、


東堂結奈の後を追った。