「結奈?」
宴会も終わり、泊めてもらうことになった私は
窓辺に足をかけ黄昏ていた。
やっぱりパッと言葉が出なくて
ただ見つめる。
「ほんと、おかえり。」
「まつの、、さん。」
出た、。声。
すぐ出せた。
ギュと後ろから抱きしめられる。
そっと顔を合わす。
「結奈、仁でいい。」
「仁、くん。」
くんをつけた私を微笑んで見てくれた。
真剣な顔になったまつの、、いや仁くん。
「今まで何があったか、聞かせてほしい。」
ふふっと微笑んだ私はポツポツと話し始めた。
お父さんに虐待をされていたこと。
強くなりたくて、中澤に近づいたこと。
妊娠してしまった私は、自暴自棄になって
あの場所に行った時に偶然出会ったのがまつのだったこと
仁くんは過去一優しい笑みを浮かべていた。
「話してくれてありがとう。
縁談のことなんだけど、、
俺は受けたいと思ってる。
俺は結奈が好き。」
「あれ、」
ボロボロを頬を伝うのはもう出ないはずの涙。
でも、なにより仁くんの気持ちが嬉しくて
抱きつく。
涙声だったけどちゃんと伝えられたよ?
「まつの、、私も、
まつのが好き。
縁談の話、すごく前向きに検討します。」
「それは嬉しいな。」
世界一の笑顔に包まれて、夜が明けた。



