「まつの?」
その声が聞こえた時、
今までの記憶がフラッシュバックした。
会いたくて、会いたくてたまらなかった人。
いつか会いに行くと誓った人。
1度しか聞いたことがない結奈の声だから
確信なんてなかったけど。
「久しぶり。結奈。」
「え?」
横でなぜか端野を名乗る少女がいる。
「まつのさん、?」
彼女は俺を見つめる。
この子は結奈の親戚か何かだろうか。
結奈がいなくなって早15年。
あれだけちっちゃくて、
可愛かった結奈はどれほど綺麗になっただろうか。
そして、この子は誰なのか。
「結奈?このはしのはくさんとはどんな関係?」
“えっと、。もうじきわかるわ。
まつの。またね?
あとこまちゃん早く帰ってきてね?!”
慌てるように切れた電話を見て、
はく?こまちゃんと呼ばれた子が
微笑む。
そして、俺を見て
「見つけた」って。
「何を?」
「まつのさん探してたの。」
なんで端野家の人間が?
俺の情報なんて、腐るほどあるはずなのに。
「ゆなちゃんの大事な人。探してたの。」
俺は目を見開いた。
彼女は痛いくらいに、微笑んだ。
その日は彼女と別れた。



