父を殴った結奈は、いつもの真顔のまま
後ろにすてんと転んだ。
そんな姿すら可愛くて、愛おしくて。
手放したくなくて、自分のものにしたくて。
でも、ほんと驚いたよ。
あんなに強かったんだって。
だから、目の前で倒れた時、すごく焦った。
車をすぐに手配して、
すぐにうちの病院に連れてった。
いくら預かってる身とはいえ、
保護者でも、
親族でもなんでもない俺は、ただ待つだけ。
診察内容も聞けない。
個人情報だからだ。
病気じゃないか心配で。
今にも吐き気がした。
その時。
おぼつかない足取りで俺のところへ歩いてきたのは
紛れもない、結奈だ。
「結奈、大丈夫?」
自分でも驚く優しいトーン。
首が千切れちゃいそうなくらい首を縦にふる結奈。
安心して、気づいたら、抱きしめていた。
「よかったー」なんて言いながら。
診察内容も、ほんとに大丈夫かも聞かない。
いつか話してくれる。
そう信じていた。
だけど、、
2ヶ月後結奈は、いなくなった。
【しんぱいしてくれてたならありがとうございます。
でも、しんぱいしなくて大丈夫です。
いつか、必ず、会いにきます。
その時はここで待っててくれますか?
まつのが幸せでいられることを願ってます。
東堂結奈】
その日は朝起きたら結奈がいなくて、
荷物もなくて、
机の上に手紙が置いてあった。



