それからの一馬は今まで以上に私に過保護になった。毎朝何時間寝たかと聞いてくるし、帰りも部活が終わるまで待っててと言われ学校の図書館で私は時間を潰して帰りを待っていた。そろそろ2学期の中間テストがあるので部活動は停止期間に入った。私は図書館で待たなくても学校が終わると一馬と一緒に帰るようになった。
でもこの中間テストと12月の期末テストの成績次第では私の進級ができるかどうか決まると思うと夜になるのがとてもとても怖かった。そのせいなのか最近、頭が痛くなる頻度が増えた。耳鳴りもして吐き気があったりで眠れない夜も増えていった。もしかしたらちゃんと記憶ができるようになる前兆かも……という期待はハズレ結局は前日に何があったなんて全く思い出せなかった。
とうとう週末明けテストが始まる。考えても仕方がないけど、対策も何もできない私は気分転換に出かけることにした。
左目は正常だから両目で見るとなんとか生活には支障がないが、右目が見えずらいせいで疲れやすいのは仕方がないと思っている。
私の記憶は半年前で止まっているので新しい化粧品に手を出せずにいたが、どうしても欲しくなった新作リップがあってドラックストアに行くことにした。心配性になってしまった母が一緒について来てくれた。2人で買い物をして外に出ると……
そこには見たくない光景が広がっていた。
一馬の隣には……由奈が楽しそうに笑っていた。2人は私に気づくことなく行ってしまった。
「蛍?」
母に呼ばれて気がついた。どうした?と聞かれたけどなんでもない。と答えるのがやっとだった。
一馬が由奈と……見たくなかった。由奈は私から一馬を取る気だ。なんで一緒にいたの?どうして?私の悲痛な心の中は誰にも気づかれなくて帰ってきてから日記に書いた。
「一馬が由奈と一緒に歩いていた」
「一馬と由奈は付き合ってたの?」
「一馬がいなくなったら私は……」
それ以上は何も書けなかった。胸がぎゅっと苦しくなる。一馬はいつも私と一緒にいてくれたのに本当は陰で柚と付き合っていたの?一馬に聞きたいけど聞けないけど私は明日の朝にはこのことを忘れてしまうだろう。次の日
「蛍〜一馬くん迎えに来てくれたわよ〜」
「はいっ」
ため息をこぼしながら一馬が待つ玄関に向かう。昨日のことを日記で読んだせいか私は一馬の顔をちゃんと見れなかった。
「おはよう。ちゃんと眠れた?」
そうか日記に書いてあった。一馬は私が倒れてから聞くようになったって。だから私は知ってるフリをして、ちゃんと寝たから大丈夫と嘘をついた。
「気をつけてね」
「うん。いってきます」
「いってきます、おばさん」
急に最近寒くなってきたけど私の右手は一馬の手のぬくもりで温かかった。
学校で一馬と由奈が仲良くいるわけではなかった。あの内容は?と思ったがそれよりも今日は一段と冷えたからか頭が痛かった。なんとか痛み止めを飲んで誤魔化していたが、とうとう昼休みに我慢できずに机に突っ伏してしまった。
「蛍、大丈夫か?どうした?」
「頭が……痛いっ」
そう言うと
「抱き上げるぞ」と一馬の声が聞こえたと思った時には私は横抱きにされていた。教室からは黄色い悲鳴が聞こえてきたけど一馬は気にすることなく1階まで階段を駆け降りて保健室のベットに寝かせてくれた。
「小野寺さん、頭痛はいつから?病院には行ったの?」
頭が痛くて首を振るので精一杯だった。痛みで記憶が朦朧としてきたけど……でも一馬に伝えたい言葉があるんだ。今までいてくれてありがとうってそして由奈と幸せになってねって。
「一馬……ありがとう……」
最後までちゃんと言えたかどうかはわかなかった。私は何もかも忘れてしまったのだから……
でもこの中間テストと12月の期末テストの成績次第では私の進級ができるかどうか決まると思うと夜になるのがとてもとても怖かった。そのせいなのか最近、頭が痛くなる頻度が増えた。耳鳴りもして吐き気があったりで眠れない夜も増えていった。もしかしたらちゃんと記憶ができるようになる前兆かも……という期待はハズレ結局は前日に何があったなんて全く思い出せなかった。
とうとう週末明けテストが始まる。考えても仕方がないけど、対策も何もできない私は気分転換に出かけることにした。
左目は正常だから両目で見るとなんとか生活には支障がないが、右目が見えずらいせいで疲れやすいのは仕方がないと思っている。
私の記憶は半年前で止まっているので新しい化粧品に手を出せずにいたが、どうしても欲しくなった新作リップがあってドラックストアに行くことにした。心配性になってしまった母が一緒について来てくれた。2人で買い物をして外に出ると……
そこには見たくない光景が広がっていた。
一馬の隣には……由奈が楽しそうに笑っていた。2人は私に気づくことなく行ってしまった。
「蛍?」
母に呼ばれて気がついた。どうした?と聞かれたけどなんでもない。と答えるのがやっとだった。
一馬が由奈と……見たくなかった。由奈は私から一馬を取る気だ。なんで一緒にいたの?どうして?私の悲痛な心の中は誰にも気づかれなくて帰ってきてから日記に書いた。
「一馬が由奈と一緒に歩いていた」
「一馬と由奈は付き合ってたの?」
「一馬がいなくなったら私は……」
それ以上は何も書けなかった。胸がぎゅっと苦しくなる。一馬はいつも私と一緒にいてくれたのに本当は陰で柚と付き合っていたの?一馬に聞きたいけど聞けないけど私は明日の朝にはこのことを忘れてしまうだろう。次の日
「蛍〜一馬くん迎えに来てくれたわよ〜」
「はいっ」
ため息をこぼしながら一馬が待つ玄関に向かう。昨日のことを日記で読んだせいか私は一馬の顔をちゃんと見れなかった。
「おはよう。ちゃんと眠れた?」
そうか日記に書いてあった。一馬は私が倒れてから聞くようになったって。だから私は知ってるフリをして、ちゃんと寝たから大丈夫と嘘をついた。
「気をつけてね」
「うん。いってきます」
「いってきます、おばさん」
急に最近寒くなってきたけど私の右手は一馬の手のぬくもりで温かかった。
学校で一馬と由奈が仲良くいるわけではなかった。あの内容は?と思ったがそれよりも今日は一段と冷えたからか頭が痛かった。なんとか痛み止めを飲んで誤魔化していたが、とうとう昼休みに我慢できずに机に突っ伏してしまった。
「蛍、大丈夫か?どうした?」
「頭が……痛いっ」
そう言うと
「抱き上げるぞ」と一馬の声が聞こえたと思った時には私は横抱きにされていた。教室からは黄色い悲鳴が聞こえてきたけど一馬は気にすることなく1階まで階段を駆け降りて保健室のベットに寝かせてくれた。
「小野寺さん、頭痛はいつから?病院には行ったの?」
頭が痛くて首を振るので精一杯だった。痛みで記憶が朦朧としてきたけど……でも一馬に伝えたい言葉があるんだ。今までいてくれてありがとうってそして由奈と幸せになってねって。
「一馬……ありがとう……」
最後までちゃんと言えたかどうかはわかなかった。私は何もかも忘れてしまったのだから……

