気になる単語が耳に入り、マリアンヌは再び聞き耳を立ててしまう。
「それは愉快ですわね! 大きな声では言えませんが、ロザリー様も少しは痛い目に遭えばよろしいのよ。マリアンヌ様が何もおっしゃらないからと言って好き勝手して。男爵令嬢の分際で目に余りますわ」
「その通り。マリアンヌ様が物語の悪役令嬢のように彼女に多少の嫌がらせをなさったからって、誰も責める者などおりませんもの」
「もちろんですわ。ですが万が一、マリアンヌ様が罪に問われるようなことがあってはいけませんし……。私、悪役令嬢が断罪されても虐めた証拠が見つからず、ヒロイン側が冤罪で追い詰められる展開を希望いたしますわ!」
「まあ、それって『断罪返し』というものではなくて? わたくし大好きなのです!」
「私も! ああ、悪役令嬢マリアンヌ様の華麗な断罪返し……見てみたいですわ」
「マリアンヌ様、悪役令嬢になってくださらないかしら……」
好き勝手話した挙句、途中からうっとりとした声に変った三人。
脳裏に何かを思い浮かべているのか、教室には唐突に沈黙が流れ始めた。
しかしマリアンヌはそれどころではない。
私、『悪役令嬢』を期待されているの?
しかも『断罪返し』って何かしら?
……これは早急に対処しなければ。
だって私は皆の期待を裏切らない公爵令嬢なんだから!
マリアンヌは令嬢とは思えない速度で校内を駆け抜けると、帰りの馬車へと乗り込んだのだった。
「それは愉快ですわね! 大きな声では言えませんが、ロザリー様も少しは痛い目に遭えばよろしいのよ。マリアンヌ様が何もおっしゃらないからと言って好き勝手して。男爵令嬢の分際で目に余りますわ」
「その通り。マリアンヌ様が物語の悪役令嬢のように彼女に多少の嫌がらせをなさったからって、誰も責める者などおりませんもの」
「もちろんですわ。ですが万が一、マリアンヌ様が罪に問われるようなことがあってはいけませんし……。私、悪役令嬢が断罪されても虐めた証拠が見つからず、ヒロイン側が冤罪で追い詰められる展開を希望いたしますわ!」
「まあ、それって『断罪返し』というものではなくて? わたくし大好きなのです!」
「私も! ああ、悪役令嬢マリアンヌ様の華麗な断罪返し……見てみたいですわ」
「マリアンヌ様、悪役令嬢になってくださらないかしら……」
好き勝手話した挙句、途中からうっとりとした声に変った三人。
脳裏に何かを思い浮かべているのか、教室には唐突に沈黙が流れ始めた。
しかしマリアンヌはそれどころではない。
私、『悪役令嬢』を期待されているの?
しかも『断罪返し』って何かしら?
……これは早急に対処しなければ。
だって私は皆の期待を裏切らない公爵令嬢なんだから!
マリアンヌは令嬢とは思えない速度で校内を駆け抜けると、帰りの馬車へと乗り込んだのだった。
