不利な状況にも関わらず、ジャルダン王子は強気だった。

「黙れ! 私がこれからその女の非道な行いをつまびらかにしてやる。静かに聞いておけ!」

そして案の定、ジャルダンはロザリーがマリアンヌから受けたとされる虐めの数々について語り始めた。
日常的な陰口、複数の私物紛失や破壊、お茶会からの締め出し、階段から突き落とされたこと……いかにひどいかを切々と訴えかけ、隣でロザリーは涙を流すフリをしている。

いやいや、盛り過ぎというか、自分の不注意でなくしたものまで私のせいなの?
もはや身に覚えのない罪のほうが多くて楽しくなってきちゃったじゃない。

ショックを受けているようで、実は笑いを堪えて震えているマリアンヌの前で、ジャルダンが高らかに言い放つ。

「以上の罪により、マリアンヌ・オーズリーには国外追放を言い渡す! 以上!」

断罪きたー。
よしよし、ここまでは希望された通りの悪役令嬢になりきれたみたいね。
よくやったわ、私!
でも公爵令嬢を国外追放ってまた大きく出たわね。
ただの第一王子のくせに。

マリアンヌは無事に悪役令嬢として断罪されたことに喜びを感じていた。