二日後、最後の嫌がらせである『階段落とし』を実行する日が訪れた。

勝負は放課後ね!
なんだか妙に気持ちが高ぶってしまって落ち着かないわ。

なーんて、学園に向かう馬車の中ではソワソワしていたマリアンヌだったのに――

学園に到着して早々、なぜかマリアンヌはジャルダンとロザリーに絡まれていた。
こちらが出向く側だと思っていたのに、人生とは何が起こるかわからないものである。

一体朝っぱらから何をしにやってきたのかと首を傾げていたら、わざわざ教室まで押しかけて来た彼らは、今週末にマリアンヌが主催するお茶会にケチを付けてきた。
ロザリーが招待されていないのはおかしいと言いがかりをつけてきたのだ。

「マリアンヌ様ってば、ひどいですぅ。お茶会に私を呼んでくれないなんて、そんなの虐めですぅ」
「どうせロザリーを仲間外れにしようと考えたのだろう。わざとロザリーにだけ招待状を送らずに爪弾きにするとは、なんて心根の醜い女なんだ! 恥を知れ!」

また出たわね、『恥を知れ!』
決め台詞のつもりなのかしら?
正直、今日の『階段落とし』のことで頭が一杯で、お茶会のことなんて忘れていたのだけど。

ロザリーは相変わらずの泣き真似をしているし、ジャルダンは唾を吐きかけんばかりに喚いている。
マリアンヌは頭が痛くなってきた。