こうして、悪役令嬢としての有終の美を飾るべく、最後の嫌がらせの計画が綿密に練られたのだが――

学園では第一、第二の嫌がらせのおかげで、ロザリーだけでなくマリアンヌにも注目が集まっていた。
第二王子のレックスが食堂でロザリーを一蹴したことで、多くの人は今までの出来事をロザリーによる自作自演だと考えているようだ。

しかし犯人が誰であれ、学園で起きた小説のような展開に、胸を弾ませている令嬢も多いのだとか。
それもこれも、マリアンヌが限りなく悪役令嬢っぽい立ち位置なのにも関わらず、アリバイがしっかりしているからだろう。
今までの努力が功を奏し、好感度が高かったおかげで、マリアンヌは言いがかりを付けられた哀れな被害者として認識されていた。
――いや、単にロザリーが嫌われ過ぎているせいかもしれないが。

兎にも角にもマリアンヌの父、公爵の耳にも最近の学園の様子は届いているらしく、日に日にジャルダンへ対する不信感を募らせていると聞く。
早く嫌がらせを終わらせないと、マリアンヌが断罪される前に婚約破棄を王家に申し込んでしまいそうな雰囲気である。

お父様の愛情はありがたいのだけど、今はまだ動かれちゃ困るのよね。
学園の生徒であるレックス様が、私のことを案じて陛下に婚約解消を進言するパターンも出てきたし、悠長にはしていられないわね。

マリアンヌは二日後、ロザリーへの最後の嫌がらせを決行することにした。