ここグランディア王国でも指折りの名家、オーズリー公爵家の長女としてマリアンヌは生を享けた。
自分が身分の高い公爵令嬢であり、目を引く存在だと幼い頃から自覚していた彼女は、令嬢の良き手本となるべく努力を怠らなかった。
その結果、十歳の時に第一王子の婚約者に選ばれ、マリアンヌの名はますます世間に知れ渡ることとなる。
そんな彼女は若い女性が噂好きなことなど重々承知しているし、自分の名前が噂にあがろうが、あることないこと言いふらされようが、そんなことはへっちゃらだった――と言いたいところだが。
マリアンヌには貴族令嬢としてよろしくない習性があった。
噂話の内容が気になって仕方がないのである。
それは自分が世間でどういう評価をされているかはもちろんのこと、一番興味があるのは周囲の期待に応えられているかという点だった。
『望まれている令嬢像を常に把握し、それをいかに完璧に再現してみせるか』――このことに心血を注いでいると言っても過言ではない。
その為、マナー違反とわかっていながらも、夜会の合間に物陰から聞き耳を立ててしまうこともしばしばで……。
これはある意味職業病の一種、マリアンヌが公爵令嬢であるがゆえの弊害と言える――のかもしれない。
自分が身分の高い公爵令嬢であり、目を引く存在だと幼い頃から自覚していた彼女は、令嬢の良き手本となるべく努力を怠らなかった。
その結果、十歳の時に第一王子の婚約者に選ばれ、マリアンヌの名はますます世間に知れ渡ることとなる。
そんな彼女は若い女性が噂好きなことなど重々承知しているし、自分の名前が噂にあがろうが、あることないこと言いふらされようが、そんなことはへっちゃらだった――と言いたいところだが。
マリアンヌには貴族令嬢としてよろしくない習性があった。
噂話の内容が気になって仕方がないのである。
それは自分が世間でどういう評価をされているかはもちろんのこと、一番興味があるのは周囲の期待に応えられているかという点だった。
『望まれている令嬢像を常に把握し、それをいかに完璧に再現してみせるか』――このことに心血を注いでいると言っても過言ではない。
その為、マナー違反とわかっていながらも、夜会の合間に物陰から聞き耳を立ててしまうこともしばしばで……。
これはある意味職業病の一種、マリアンヌが公爵令嬢であるがゆえの弊害と言える――のかもしれない。
