その日の夕方。
「優莉、夜飯どうする?何食べたい?」
荷物の片付けが終わり、部屋から出てきた幹ちゃんが言った。
「、、、お兄ちゃんのカレーが食べたい。」
「んー、優弦のカレーの作り方なんて分からんしなぁ。」
「幹ちゃん、カレー作れるの?」
「まぁ、ずっと一人だから、カレーくらいは作れるよ。」
幹ちゃんの言う"一人"でわたしは思い出した。
そうだ、、、幹ちゃんも一人だったんだ、、、
幹ちゃんは8歳の時に両親を事故で亡くし、親戚にたらい回しにされ育ったと聞いたことがあった。
最終的には、高齢の祖父母の家に落ち着いたらしいが、その祖父母も幹ちゃんが16歳の時に亡くなり、幹ちゃんは孤独に生きてきたのだ。
幹ちゃんはそのせいか、年齢の割に大人びていてあまり感情を表に出すタイプではなかった。
だから、陽気で誰とでもすぐ仲良くなってしまうお兄ちゃんとは真逆の性格で、何でこの二人が仲良いんだろう?と不思議に思ったことがあった。
「じゃあ、幹ちゃんの作るカレー食べてみたい!」
「よし。じゃあ、買い物行くか。」
そう言って、わたしはよくお兄ちゃんと一緒に行っていたスーパーに幹ちゃんと二人で行くことにした。



