「嘘だ、、、」
わたしはそう呟きながら、一歩一歩ゆっくりとその扉へと近付いて行き、震える右手をドアノブに手を掛けた。
そして、そっと扉を開け、中を覗いてみる。
部屋の中は薄暗く、そこには白いシーツを掛けられ、顔に白い布を掛けられた人がベッドに横たわっていた。
わたしは、嘘だ、嘘だ、そんなわけない、、、と心の中で呟きながら、その人に歩み寄り、顔に掛けられた白い布を指先で摘んでスッと引いた。
すると、そこに眠っていたのは、紛れもなく、わたしの大好きでたった一人の家族であるお兄ちゃんだった。
「あ、あ、っ、、、ああああああああああああー!!!!!」
わたしはただ眠っているだけのようなお兄ちゃんにすがりつき、泣き叫んだ。
お兄ちゃん、何でこんなとこで寝てるの?!
嘘でしょ?!嘘だ!って言って起きてよ!
わたしがお嫁に行くまで、一緒に居てくれるって言ってたじゃない!!!
なのに、なのに、、、
何でわたしを一人にしたの、、、?
泣き崩れるわたしの背中に、幹ちゃんは何も言わずにそっと手を置き、その手は温かく、まるで"俺も同じ気持ちだよ"と言っているようだった。



