仕事中、知らない番号から着信があり、普段は知らない番号なら電話に出ないわたしだが、なぜか電話に出てしまった。
すると電話の向こうから、耳を疑う言葉が聞こえてきた。
わたしは疑いながらも仕事を早退し、病院へと急いだ。
息を切らし、総合受付へと駆け寄ったわたしは、名前と事情を説明する。
受付の人は、すぐにある場所への行き方を説明してくれ、わたしは走った。
走って、走って、着いたそこには、病院の長椅子に腰を掛け、下を向いて涙を流している男性の姿があった。
「、、、幹ちゃん?」
わたしがそう声を掛けると、その男性はゆっくりと顔を上げ、こちらを向いた。
その男性は、わたしの兄、新星優弦の幼馴染で親友であり、同僚の比護幹太だった。
「優莉、、、」
わたしは涙を流す幹ちゃんに駆け寄り、「お兄ちゃんは?!」と言った。
すると、幹ちゃんは何も言わずに視線を逸らし、ある一つの扉に目を向けた。
わたしは幹ちゃんの視線の先を辿る。
その扉の上には、"霊安室"と書かれていた。



