愛を知って涙に幸あれ。


今朝の外は寒かった。

コートを着てマフラーをグルグル巻きにして、かじかむ手をコートのポケットに入れて雪の上を歩くと、雪がギシギシと鳴る。

「また雪積もったなぁ。」

そう呟くと、息が白くなる。

今日、幹ちゃんは19時くらいの帰宅になるって言ってたよね。

じゃあ、大体同じくらいの時間に帰って来るのかな。

今日のご飯は、わたしが何か作ろう。
何作ろうかなぁ。

わたし、レパートリーがないんだよなぁ、、、

そんなことを考えながら、わたしはバス停まで歩いた。

バスに乗り、会社に久しぶりに出勤すると、既にわたし以外の人たちは出勤していた。

「おはようございます。長いお休みいただいてしまって、申し訳ありませんでした。」

みんなの前でそう言い、頭を下げるが、家族を失ったわたしに労りの言葉を掛けてくれる人は特に居なくて、ただ「おはようございます。」だけが返ってきた。

別に誰かに慰めて欲しいわけでもなければ、心配されたいわけでもない。

この小さな会社は、みんなどこか冷めた人たちばかりで仲の良い人など居ない。

「新星さん、おはよう。大変だったね。」

ただ一人だけ、そう声を掛けてくれたのはわたしより3年先輩の白浜さん。

彼は、この会社の中ではまだ話せる方で、口数は少なく目立つタイプではないが、なぜかたまに飲み物を奢ってくれる。