○昼・ファミレス
蒼依と男友達三人が食事をしている。
陸「夏休みもそろそろ終わりかー」
大樹「あー宿題全然終わってないわ」
悠人「……ところで、蒼依はいつ黒髪に戻すん? 学校始まるけど」
黙り込む蒼依。
蒼依(金髪の俺だから柚葉が動揺してくれるんであって……黒髪に戻したらまたただの幼馴染みに逆戻りだ……)
陸「おーい、蒼依? どしたー?」
蒼依「……ああ、まだ決めてない」
大樹「おいおい、まさかそのまま始業式に出るつもりじゃないだろうな? 校則破りたいお年頃か? 不良デビューか?」
蒼依「そんなつもりはないよ」
友人達の言葉に、苦笑いを浮かべる蒼依。
陸「しかし本当に印象変わったよな。……女子の反応はどうなの? やっぱ近寄ってくる層変わった?」
蒼依「別に……そういうのは気にしてない」
大樹「まじかよ、もったいな! 俺が蒼依だったら絶対ナンパしまくるのに」
悠人「……蒼依は好きな人居るんじゃないの? その子以外のリアクションなんてどうでも良いんだろ」
悠人の質問に一瞬固まる蒼依。
大樹「……え、嘘まじで?」
蒼依「……うるさい」
大樹「え、知らないの俺だけ!? 誰だよ、教えろよ!」
蒼依「お前絶対顔に出るしやだよ……」
蒼依は窓の外を見つめる。
蒼依(夏祭りでのアレがむかついてつい告白しちゃったけど……あれから柚葉との距離が遠くなった気がする。やっぱり早まったよなあ……)
○回想・朝・柚葉の家のリビング(第5話部分)
柚葉「……私、蒼依の気持ち全然気付いてなくて……」
蒼依「だろうな。お前が気付かないように行動してたのは俺だから」
話の最中、ずっと困惑した表情の柚葉の顔を思い出す蒼依。
○現在・ファミレスに戻る
蒼依(あんなこと言わなきゃ良かった……でもあの反応、どう見ても俺の気持ちに気付いてなかったし……知ってもらうって意味では悪くなかったはず……)
悠人「蒼依、マジな話……お前、大丈夫か? 顔色悪いぞ」
蒼依「……ああ、大丈夫」
悠人「無理するなよ。相談くらいのるって。……それとも俺達はそんなに頼りない?」
蒼依は短くため息をつく。
蒼依「……好きな子に告白したけど、上手くいってない。告白を早まったのか……でも好きだってことすら気付かれてなかったから言ったのは正しかったと思うし……正直、どっちが正解だったのかわからない」
大樹「おお! やっぱり!」
陸「うるさい大樹。……で、どんな感じに上手くいってないの?」
蒼依「……告白はしたけど、一方的に言い逃げしたっていうか。もっとガンガンアピールしてから告白するつもりだったのに焦って告白したせいで、返事も分かりきってるから怖くて俺も逃げちゃってるって感じ。かえって距離ができてどうすればいいか分からない……」
悠人「……うーん。ここで無理にアピールしても避けられそうだし、相手の気持ちがはっきりするまで待つべき、か? いやでもお互い避けてたらそのまま疎遠になりそうだな?」
大樹「付き合う付き合わないはさておき、元通りになりたいなら思い切って『ごめん、あの告白なかったことにして』って言うのは?」
蒼依(なかったことに……できるわけないだろ。長年隠してきた気持ちをやっと伝えたんだから……でも、お互い気まずくて避けた結果疎遠になるよりマシ、なのかな)
○夜・蒼依の家のリビング
夕食を食べる柚葉と蒼依。蒼依はいつも通りを意識し、積極的に会話を振っている。
蒼依「……このから揚げ、美味しい?」
柚葉「うん、おいしいよ? なんで?」
蒼依「うーん、別にまずくはないけど物足りないって言うか……」
蒼依(俺の中で柚葉が作った唐揚げが一番だからか……?)
蒼依母「確かにあんたと柚葉ちゃんの方が料理うまいけど、それにあぐらかいてちゃ駄目だと思って作ったんだから文句言わない! 嫌なら食べなくて結構!」
蒼依「……悪かったよ。母さんの唐揚げもそこそこいけるって」
柚葉「失礼でしょ蒼依! 凄く美味しくて私は好きだよ、茜さん」
蒼依母「いいのよ柚葉ちゃん、無理してお世辞なんか言わなくて」
柚葉(お世辞じゃなくて、本当に好きなんだけどなあ……、蒼依のから揚げに味が似てて。でもそれを言ったら空気が変になるだろうから言わないでおこうっと)
食事後、食器を片付けてから蒼依は気分転換のために散歩に出る。夕焼けの赤い光が彼の金髪を赤く染める。
蒼依(なかったことにすれば、今日みたいに普通に話せるのかな……でも俺はもう、ただの幼馴染みなんて立場には耐えられない)
蒼依は携帯を取り出し、ロック画面の壁紙を見つめる。そこには柚葉と二人で写った写真が設定されている。
蒼依(最悪今までみたいに家を行き来する気安い関係も壊れるかもしれないけど……でもやっぱり伝えられてよかった。後悔はしていない)
蒼依は柔らかな笑みを浮かべながら壁紙の柚葉の笑顔を指でなぞる。
蒼依(たとえ今は俺の気持ちが届かなくても、いつか柚葉が俺を見てくれるかもしれないし……ずっと待てばいいだけだ。だけど少しでも柚葉の心を乱せるなら……今はまだ金髪のままでいたい)
蒼依と男友達三人が食事をしている。
陸「夏休みもそろそろ終わりかー」
大樹「あー宿題全然終わってないわ」
悠人「……ところで、蒼依はいつ黒髪に戻すん? 学校始まるけど」
黙り込む蒼依。
蒼依(金髪の俺だから柚葉が動揺してくれるんであって……黒髪に戻したらまたただの幼馴染みに逆戻りだ……)
陸「おーい、蒼依? どしたー?」
蒼依「……ああ、まだ決めてない」
大樹「おいおい、まさかそのまま始業式に出るつもりじゃないだろうな? 校則破りたいお年頃か? 不良デビューか?」
蒼依「そんなつもりはないよ」
友人達の言葉に、苦笑いを浮かべる蒼依。
陸「しかし本当に印象変わったよな。……女子の反応はどうなの? やっぱ近寄ってくる層変わった?」
蒼依「別に……そういうのは気にしてない」
大樹「まじかよ、もったいな! 俺が蒼依だったら絶対ナンパしまくるのに」
悠人「……蒼依は好きな人居るんじゃないの? その子以外のリアクションなんてどうでも良いんだろ」
悠人の質問に一瞬固まる蒼依。
大樹「……え、嘘まじで?」
蒼依「……うるさい」
大樹「え、知らないの俺だけ!? 誰だよ、教えろよ!」
蒼依「お前絶対顔に出るしやだよ……」
蒼依は窓の外を見つめる。
蒼依(夏祭りでのアレがむかついてつい告白しちゃったけど……あれから柚葉との距離が遠くなった気がする。やっぱり早まったよなあ……)
○回想・朝・柚葉の家のリビング(第5話部分)
柚葉「……私、蒼依の気持ち全然気付いてなくて……」
蒼依「だろうな。お前が気付かないように行動してたのは俺だから」
話の最中、ずっと困惑した表情の柚葉の顔を思い出す蒼依。
○現在・ファミレスに戻る
蒼依(あんなこと言わなきゃ良かった……でもあの反応、どう見ても俺の気持ちに気付いてなかったし……知ってもらうって意味では悪くなかったはず……)
悠人「蒼依、マジな話……お前、大丈夫か? 顔色悪いぞ」
蒼依「……ああ、大丈夫」
悠人「無理するなよ。相談くらいのるって。……それとも俺達はそんなに頼りない?」
蒼依は短くため息をつく。
蒼依「……好きな子に告白したけど、上手くいってない。告白を早まったのか……でも好きだってことすら気付かれてなかったから言ったのは正しかったと思うし……正直、どっちが正解だったのかわからない」
大樹「おお! やっぱり!」
陸「うるさい大樹。……で、どんな感じに上手くいってないの?」
蒼依「……告白はしたけど、一方的に言い逃げしたっていうか。もっとガンガンアピールしてから告白するつもりだったのに焦って告白したせいで、返事も分かりきってるから怖くて俺も逃げちゃってるって感じ。かえって距離ができてどうすればいいか分からない……」
悠人「……うーん。ここで無理にアピールしても避けられそうだし、相手の気持ちがはっきりするまで待つべき、か? いやでもお互い避けてたらそのまま疎遠になりそうだな?」
大樹「付き合う付き合わないはさておき、元通りになりたいなら思い切って『ごめん、あの告白なかったことにして』って言うのは?」
蒼依(なかったことに……できるわけないだろ。長年隠してきた気持ちをやっと伝えたんだから……でも、お互い気まずくて避けた結果疎遠になるよりマシ、なのかな)
○夜・蒼依の家のリビング
夕食を食べる柚葉と蒼依。蒼依はいつも通りを意識し、積極的に会話を振っている。
蒼依「……このから揚げ、美味しい?」
柚葉「うん、おいしいよ? なんで?」
蒼依「うーん、別にまずくはないけど物足りないって言うか……」
蒼依(俺の中で柚葉が作った唐揚げが一番だからか……?)
蒼依母「確かにあんたと柚葉ちゃんの方が料理うまいけど、それにあぐらかいてちゃ駄目だと思って作ったんだから文句言わない! 嫌なら食べなくて結構!」
蒼依「……悪かったよ。母さんの唐揚げもそこそこいけるって」
柚葉「失礼でしょ蒼依! 凄く美味しくて私は好きだよ、茜さん」
蒼依母「いいのよ柚葉ちゃん、無理してお世辞なんか言わなくて」
柚葉(お世辞じゃなくて、本当に好きなんだけどなあ……、蒼依のから揚げに味が似てて。でもそれを言ったら空気が変になるだろうから言わないでおこうっと)
食事後、食器を片付けてから蒼依は気分転換のために散歩に出る。夕焼けの赤い光が彼の金髪を赤く染める。
蒼依(なかったことにすれば、今日みたいに普通に話せるのかな……でも俺はもう、ただの幼馴染みなんて立場には耐えられない)
蒼依は携帯を取り出し、ロック画面の壁紙を見つめる。そこには柚葉と二人で写った写真が設定されている。
蒼依(最悪今までみたいに家を行き来する気安い関係も壊れるかもしれないけど……でもやっぱり伝えられてよかった。後悔はしていない)
蒼依は柔らかな笑みを浮かべながら壁紙の柚葉の笑顔を指でなぞる。
蒼依(たとえ今は俺の気持ちが届かなくても、いつか柚葉が俺を見てくれるかもしれないし……ずっと待てばいいだけだ。だけど少しでも柚葉の心を乱せるなら……今はまだ金髪のままでいたい)
