○昼・カフェ
柚葉と友人の美咲がカフェで話している。
美咲「え? 高瀬くんが金髪に?」
柚葉「うん……それから様子がおかしくて……いや、私のせいなんだけど……」
柚葉(元彼を重ねて見るなって怒ったかと思えば、元彼の代わりでもいいとか言い出すし……。かと思えば最近はやたらと優しいというか褒めてくるというか、とにかく変なんだよね……。でも蒼依の気持ちを知っちゃった以上「元の蒼依に戻ってほしい」なんて口が裂けても言えないし。どうしたらいいか分かんないよ……)
美咲「おかしいって? 柚葉がなにかしたの?」
柚葉「えっと……その……、私が間違えて『涼介くん』って呼んじゃったから。それからなんていうか……イライラしてるというか、刺々しいというか……」
美咲「ふーん……。それで? 柚葉はどうしたの?」
柚葉「えっと、その後は……」
柚葉は話しにくそうに口ごもる。
相談はしたいけど、詳しく話そうとすると蒼依が柚葉に告白した件に触れざるを得ない。勝手に話されたら蒼依も良い気はしないだろうし、元々涼介とは美咲の紹介で付き合った経緯もあるのでしどろもどろになる柚葉。それに大して美咲は意味ありげな笑みを浮かべる。
美咲「前々からちょっと気になってたんだけど……高瀬くんって柚葉とそれ以外の女子に対する表情が全然違うの知ってた?」
柚葉「え? どういうこと?」
美咲「……なんていうのかな。人当たりは悪くないんだけど壁を感じるっていうか。特に女子に対しては徹底的。ただでさえモテるからねー、冷たくはないんだけど、絶対勘違いさせないように気をつけてる感じって言えば良いのかな。だけど柚葉に対しては表情が柔らかいんだよね。あ、彼にとって柚葉は特別なんだなーって。あと、やたらと目が合う。高瀬くんが柚葉のことしょっちゅう見てるんだろうね。だから結果的に私と目が合うみたい」
柚葉「そんな……私全然気づかなかった……」
美咲「まあ幼なじみだし、いつも一緒にいるから特別なのは当たり前なんだろうけど、高校生って冷やかしに敏感じゃない? 特に男子はそんなイメージ。それでも常に柚葉といるんだから、高瀬くんって結構珍しい部類だと思うよ。正直単なる幼なじみなのかな……って邪推することあったし」
美咲(ま、私の予想はやっぱり当たってたわけだ。「俺は関係ありません、恋愛なんて興味ありません」みたいな涼しい顔してたけど、柚葉が好きだったのね、あの朴念仁)
美咲「ねえ、気分転換にプール行かない?」
柚葉「プール?」
美咲「うん。あんたら、二人ほぼ毎日一緒に居るからこじれた時に厄介なのよ。一回離れてぱーっと遊ぶべき!」
柚葉「……そっか。うん、確かに」
○昼・プール
ウォータースライダーなどではしゃいだ後、プール内のカフェで休憩する柚葉と美咲。突然、柚葉の目の前に現れる一人の青年。
涼介「お? 誰かと思えば……柚葉?」
柚葉「え、涼介くん……!?」
涼介「久しぶり、元気だった?」
柚葉「う、うん……」
涼介「今日は美咲と?」
柚葉「そう」
美咲「積もる話もあるだろうし……、私はちょっと追加注文してくるから座って話してて」
二人を残して立ち去る美咲。美咲の言葉に甘えて、二人が居た席に座る涼介。一緒に歩いていた涼介の友人も「その辺をぶらっとしてくるわ」と離席。
涼介「……で? 全然元気ないけど。なんかあったの?」
柚葉「え?」
涼介「いや、俺もちょっと思うことがあってさ。あの時は柚葉の言葉を鵜呑みにしてたけど……改めて考えたら、我慢させてたんじゃないかなって。今もほら『元気?』って聞いたら『うん』って言うじゃん。明らかに元気ないのにさ」
柚葉「それはでも、プールに来てるんだから『元気じゃない』とは答えないんじゃないかな……?」
涼介「まあ、それはそうなんだけど。……はは、ちょっと変わった? 前の柚葉ならきっと言わなかった気がする」
柚葉(それは、涼介くんに嫌われて、振られるのが怖かったから。だけどもう別れてるし……)
柚葉はなにかに違和感を覚える。
柚葉(でも確かに涼介くんの言うとおりかも。なんですんなり言えたんだろう……?)
涼介「大して親しくもないやつにあれこれ言われてもうざいよな。ごめんね、邪魔して」
立ち去る涼介と入れ違いで戻ってくる美咲。
美咲「あれ? 話はもういいの?」
柚葉「うん」
柚葉(本当に私、まだ涼介くんに未練あるのかな……?)
柚葉と友人の美咲がカフェで話している。
美咲「え? 高瀬くんが金髪に?」
柚葉「うん……それから様子がおかしくて……いや、私のせいなんだけど……」
柚葉(元彼を重ねて見るなって怒ったかと思えば、元彼の代わりでもいいとか言い出すし……。かと思えば最近はやたらと優しいというか褒めてくるというか、とにかく変なんだよね……。でも蒼依の気持ちを知っちゃった以上「元の蒼依に戻ってほしい」なんて口が裂けても言えないし。どうしたらいいか分かんないよ……)
美咲「おかしいって? 柚葉がなにかしたの?」
柚葉「えっと……その……、私が間違えて『涼介くん』って呼んじゃったから。それからなんていうか……イライラしてるというか、刺々しいというか……」
美咲「ふーん……。それで? 柚葉はどうしたの?」
柚葉「えっと、その後は……」
柚葉は話しにくそうに口ごもる。
相談はしたいけど、詳しく話そうとすると蒼依が柚葉に告白した件に触れざるを得ない。勝手に話されたら蒼依も良い気はしないだろうし、元々涼介とは美咲の紹介で付き合った経緯もあるのでしどろもどろになる柚葉。それに大して美咲は意味ありげな笑みを浮かべる。
美咲「前々からちょっと気になってたんだけど……高瀬くんって柚葉とそれ以外の女子に対する表情が全然違うの知ってた?」
柚葉「え? どういうこと?」
美咲「……なんていうのかな。人当たりは悪くないんだけど壁を感じるっていうか。特に女子に対しては徹底的。ただでさえモテるからねー、冷たくはないんだけど、絶対勘違いさせないように気をつけてる感じって言えば良いのかな。だけど柚葉に対しては表情が柔らかいんだよね。あ、彼にとって柚葉は特別なんだなーって。あと、やたらと目が合う。高瀬くんが柚葉のことしょっちゅう見てるんだろうね。だから結果的に私と目が合うみたい」
柚葉「そんな……私全然気づかなかった……」
美咲「まあ幼なじみだし、いつも一緒にいるから特別なのは当たり前なんだろうけど、高校生って冷やかしに敏感じゃない? 特に男子はそんなイメージ。それでも常に柚葉といるんだから、高瀬くんって結構珍しい部類だと思うよ。正直単なる幼なじみなのかな……って邪推することあったし」
美咲(ま、私の予想はやっぱり当たってたわけだ。「俺は関係ありません、恋愛なんて興味ありません」みたいな涼しい顔してたけど、柚葉が好きだったのね、あの朴念仁)
美咲「ねえ、気分転換にプール行かない?」
柚葉「プール?」
美咲「うん。あんたら、二人ほぼ毎日一緒に居るからこじれた時に厄介なのよ。一回離れてぱーっと遊ぶべき!」
柚葉「……そっか。うん、確かに」
○昼・プール
ウォータースライダーなどではしゃいだ後、プール内のカフェで休憩する柚葉と美咲。突然、柚葉の目の前に現れる一人の青年。
涼介「お? 誰かと思えば……柚葉?」
柚葉「え、涼介くん……!?」
涼介「久しぶり、元気だった?」
柚葉「う、うん……」
涼介「今日は美咲と?」
柚葉「そう」
美咲「積もる話もあるだろうし……、私はちょっと追加注文してくるから座って話してて」
二人を残して立ち去る美咲。美咲の言葉に甘えて、二人が居た席に座る涼介。一緒に歩いていた涼介の友人も「その辺をぶらっとしてくるわ」と離席。
涼介「……で? 全然元気ないけど。なんかあったの?」
柚葉「え?」
涼介「いや、俺もちょっと思うことがあってさ。あの時は柚葉の言葉を鵜呑みにしてたけど……改めて考えたら、我慢させてたんじゃないかなって。今もほら『元気?』って聞いたら『うん』って言うじゃん。明らかに元気ないのにさ」
柚葉「それはでも、プールに来てるんだから『元気じゃない』とは答えないんじゃないかな……?」
涼介「まあ、それはそうなんだけど。……はは、ちょっと変わった? 前の柚葉ならきっと言わなかった気がする」
柚葉(それは、涼介くんに嫌われて、振られるのが怖かったから。だけどもう別れてるし……)
柚葉はなにかに違和感を覚える。
柚葉(でも確かに涼介くんの言うとおりかも。なんですんなり言えたんだろう……?)
涼介「大して親しくもないやつにあれこれ言われてもうざいよな。ごめんね、邪魔して」
立ち去る涼介と入れ違いで戻ってくる美咲。
美咲「あれ? 話はもういいの?」
柚葉「うん」
柚葉(本当に私、まだ涼介くんに未練あるのかな……?)
