○朝・柚葉の家のリビング
朝食を食べている柚葉と蒼依。柚葉は蒼依の金髪を見るたびに夏祭りでの自分の失態の数々や頼もしかった蒼依の様子を思い出して動揺している。その様子を誤解する蒼依。
蒼依「なあ」
柚葉「なに?」
蒼依「髪の色変えただけでこの反応、笑っちゃうな」
柚葉「……え?」
蒼依は刺すような視線で柚葉を見る。
蒼依「お前、俺のことどう思ってる?」
柚葉「……急にどうしたの?」
なんの前触れもない怒りに動揺する柚葉。
蒼依「まあ、俺を見て元彼の名前を呼ぶくらいだもんな、どうとも思ってないよな……」
柚葉「それは本当にごめん……!」
蒼依「なあ、他人の……涼介の代わりでもいいからさ。俺を見てよ」
柚葉「他人の代わりなんて、そんなの無理に決まってるでしょ……! どうして急にそんなこと……」
蒼依の言葉にショックを受けた表情で答える柚葉。
蒼依「急じゃない! 俺はずっと柚葉が好きだった。でもお前は俺を男として見てくれたこと、ないだろう? もう諦めようと思ったんだ。……なのに、髪を染めただけで……」
柚葉「…………ごめん、私、蒼依の気持ち全然気付いてなくて……」
蒼依「だろうな。お前が気付かないように行動してたのは俺だから。なあ、俺わがままだからさ。最初は幼馴染みでいいと思ったんだ。恋人なんていつ別れるかも分かんないし。気まずくなって疎遠になるなんて嫌だろ」
柚葉「……うん」
蒼依「なのに、今は幼馴染みが一番遠い気がするんだ。……どっちかが実家を出たら関係が終わるかもしれない。相手に恋人が出来たって口出す権利もなけりゃ、相談もしてもらえない。……正直、友達以下なんじゃないかって思うよ」
柚葉「そんなこと……ない……」
蒼依「そんなことあるだろう? 俺が涼介ってやつのこと聞いた時、お前なにも教えてくれなかったじゃないか」
蒼依の言葉に詰まる柚葉。
蒼依(ほらな、やっぱりなにも言わない。柚葉にとって、俺はその程度の存在なんだよな……)
○夜・柚葉の部屋
ベッドに横たわる柚葉。
柚葉(……幼なじみは遠いポジション、か……。私にとって蒼依は、兄弟みたいな存在で、だからこそ恋愛関係については恥ずかしくて言えなかったんだけど。きっとそれが「遠い」ってことなんだよね……)
いつの間にか寝てしまい、夢の中で回想シーンに入る。
○回想シーン(夢の中)・涼介と付き合っていたころ
学校帰り、他校の涼介と待ち合わせてデートに行く柚葉。
柚葉「今日どこ行く?」
涼介「柚葉の好きなところでいいよ」
柚葉(この間もそう言ったから「次は涼介くんの行きたいところ、考えておいてね」って言ったのに。でもそれを言ったら嫌われちゃうかな……)
柚葉「……じゃあ今日は——に行きたいな」
涼介「おっけー、じゃあ行こうか」
歩き出す涼介。歩幅の違いによりどんどん距離が開くが、その度に柚葉が早歩きで隣に並ぶ。
涼介はその様子に気付かず、柚葉もまた、涼介になにも言わない。
そんな調子で歩き続ける最中、涼介が渡った直後に信号が赤になってしまった。渡れなかった柚葉は思わず声を上げる。
柚葉「待って、涼介くん……!」
なんとなく夢だと察してる柚葉(そっか……蒼依の後ろ姿を見て名前を間違えたのは、涼介くんの背中を追うことが当たり前になってたからだったんだ……。この頃の私はどうしてこんなに必死に追いかけてたんだろう。一言『歩くペースを合わせてほしい』って言えば良かっただけなのに……)
朝食を食べている柚葉と蒼依。柚葉は蒼依の金髪を見るたびに夏祭りでの自分の失態の数々や頼もしかった蒼依の様子を思い出して動揺している。その様子を誤解する蒼依。
蒼依「なあ」
柚葉「なに?」
蒼依「髪の色変えただけでこの反応、笑っちゃうな」
柚葉「……え?」
蒼依は刺すような視線で柚葉を見る。
蒼依「お前、俺のことどう思ってる?」
柚葉「……急にどうしたの?」
なんの前触れもない怒りに動揺する柚葉。
蒼依「まあ、俺を見て元彼の名前を呼ぶくらいだもんな、どうとも思ってないよな……」
柚葉「それは本当にごめん……!」
蒼依「なあ、他人の……涼介の代わりでもいいからさ。俺を見てよ」
柚葉「他人の代わりなんて、そんなの無理に決まってるでしょ……! どうして急にそんなこと……」
蒼依の言葉にショックを受けた表情で答える柚葉。
蒼依「急じゃない! 俺はずっと柚葉が好きだった。でもお前は俺を男として見てくれたこと、ないだろう? もう諦めようと思ったんだ。……なのに、髪を染めただけで……」
柚葉「…………ごめん、私、蒼依の気持ち全然気付いてなくて……」
蒼依「だろうな。お前が気付かないように行動してたのは俺だから。なあ、俺わがままだからさ。最初は幼馴染みでいいと思ったんだ。恋人なんていつ別れるかも分かんないし。気まずくなって疎遠になるなんて嫌だろ」
柚葉「……うん」
蒼依「なのに、今は幼馴染みが一番遠い気がするんだ。……どっちかが実家を出たら関係が終わるかもしれない。相手に恋人が出来たって口出す権利もなけりゃ、相談もしてもらえない。……正直、友達以下なんじゃないかって思うよ」
柚葉「そんなこと……ない……」
蒼依「そんなことあるだろう? 俺が涼介ってやつのこと聞いた時、お前なにも教えてくれなかったじゃないか」
蒼依の言葉に詰まる柚葉。
蒼依(ほらな、やっぱりなにも言わない。柚葉にとって、俺はその程度の存在なんだよな……)
○夜・柚葉の部屋
ベッドに横たわる柚葉。
柚葉(……幼なじみは遠いポジション、か……。私にとって蒼依は、兄弟みたいな存在で、だからこそ恋愛関係については恥ずかしくて言えなかったんだけど。きっとそれが「遠い」ってことなんだよね……)
いつの間にか寝てしまい、夢の中で回想シーンに入る。
○回想シーン(夢の中)・涼介と付き合っていたころ
学校帰り、他校の涼介と待ち合わせてデートに行く柚葉。
柚葉「今日どこ行く?」
涼介「柚葉の好きなところでいいよ」
柚葉(この間もそう言ったから「次は涼介くんの行きたいところ、考えておいてね」って言ったのに。でもそれを言ったら嫌われちゃうかな……)
柚葉「……じゃあ今日は——に行きたいな」
涼介「おっけー、じゃあ行こうか」
歩き出す涼介。歩幅の違いによりどんどん距離が開くが、その度に柚葉が早歩きで隣に並ぶ。
涼介はその様子に気付かず、柚葉もまた、涼介になにも言わない。
そんな調子で歩き続ける最中、涼介が渡った直後に信号が赤になってしまった。渡れなかった柚葉は思わず声を上げる。
柚葉「待って、涼介くん……!」
なんとなく夢だと察してる柚葉(そっか……蒼依の後ろ姿を見て名前を間違えたのは、涼介くんの背中を追うことが当たり前になってたからだったんだ……。この頃の私はどうしてこんなに必死に追いかけてたんだろう。一言『歩くペースを合わせてほしい』って言えば良かっただけなのに……)
