太陽のような君と夏の恋

○夜・夏祭り会場
人混みでごった返す祭り会場。柚葉と蒼依は人の波に流されて少しずつ離れていく。

柚葉「待って!」

慌てて蒼依を追いかけるも、どんどん距離が離れていく事に焦りを感じる柚葉。
声を上げるも祭りの呼び込みの声にかき消され、蒼依が気付く様子はない。

柚葉「……っ! 待って、お願い! 涼介くん!」

叫んでからはっとする柚葉。ゆっくりと振り返る蒼依。

蒼依「馬鹿、また間違えてるぞ」
柚葉「……ごめん……!」

柚葉は後悔と罪悪感に俯く。蒼依は何も言わず、柚葉の頭をぐしゃっと撫でる。

柚葉「あっ! 髪型が崩れる!」
蒼依「はは、悪い悪い」

笑いながら手を引っ込める蒼依。

柚葉(わざと空気を変えてくれたんだ……ありがとう)

○夜・神社の境内
花火大会が始まり、夜空に大きな花火が打ち上がる。見上げる二人。

柚葉「いつ見ても綺麗だよね、花火って」
蒼依「ああ……」

蒼依は花火より柚葉の横顔を見ている。花火の音が轟く中、蒼依が小さく呟く。

蒼依「本当に綺麗だ」

声に反応して蒼依の方を振り向くも、蒼依は既に花火を見ている。

柚葉(今のって……花火に対する感想だよね?)

首を傾げつつ蒼依を観察するも、真剣に花火を眺めている蒼依。やっぱり自分に話しかけていたわけじゃなかったのだろうと結論付ける柚葉。

柚葉(あ、花火が金髪に反射してる……こっちも綺麗)