○朝・登校途中の道
柚葉と蒼依が並んで歩いている。二人の手がそっと触れ合い、互いに照れながらも指を絡める。
柚葉「恋人繋ぎ……まだ慣れないね……」
蒼依「ああ……。でも念願叶ったって感じで俺は嬉しい」
柚葉(……今までの繋ぎ方より触れる面積は少ないのに、指同士が絡み合うからか凄く……凄くドキドキする。蒼依と付き合うなんて、一ヶ月前の私には想像もできなかったな……)
○昼休み・教室
柚葉と美咲が昼食を食べている。蒼依は仲の良い男子達に引っ張られ、教室の外で食事を摂っている。
美咲「で、どう?恋人としての高瀬くんは?」
柚葉「え!? なんで知ってるの!?」
美咲「なんで知らないと思ってるの? 校門前の告白劇を見た人が何人もいるし、なにより最近手を繋いで登下校してるでしょ、あんなの誰が見たって分かるわよ」
柚葉「うっ、確かに……」
美咲「それでどうなの?」
柚葉「うーん、特に今までと変わらないかな……でも……」
頬を赤らめる柚葉。
柚葉「蒼依の態度が他の人に対してとは違うってやっと分かった……。それに私も、蒼依の横顔とか見てるとドキドキするし……」
美咲「良かった」
柚葉「え?」
美咲「なんというか……あんたの場合、恋愛より先に『家族』に対する情を持ってたわけでしょ。だから恋愛感情にならないまま卒業するのかなーって思ってたから。正直きっと高瀬くんと付き合うんだろうなとは思ったけど、他に目を向けるのも良いんじゃないのって思って涼介を紹介したの」
柚葉は驚いた表情で美咲を見る。
美咲「なんで私の方が知ってるのかって? ……あんたの話題の八割に高瀬くんが出てきてるって気付いてる?」
柚葉「そうだったの?」
美咲「そうだよ。涼介と付き合ってる時もそんな感じだったし。高瀬くんが周りの男子を牽制しなくても、あんた自身が群がる男子を牽制してたの。だから涼介以外誰も告白出来なかったって、気付いてる?」
柚葉「えー、嘘!?」
美咲「ま、今更知っても関係ないだろうけど? 高瀬くんと別れるつもりはないんでしょ」
柚葉は恥ずかしさのあまり顔を両手で覆いながら、こくんと頷いた。
○夕方・柚葉の家の門前
下校する二人。柚葉の家の前で立ち止まる。
蒼依「じゃあ、またあとで」
柚葉「うん……」
名残惜しそうな顔の柚葉に、蒼依が少し困ったような顔をする。
蒼依「あのさ、そういう顔困るんだけど……」
柚葉「そ、そういう顔って!?」
蒼依「だから、こういうことしてほしそうな顔」
蒼依は柚葉の頬に優しくキスをする。
柚葉「……!」
蒼依「またな」
照れくさそうに手を振り、自分の家へと向かう蒼依。柚葉はまだ頬に残る温もりに触れ、幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。
○夜・蒼依の家のリビング
両家合同で柚葉の誕生日会が開かれている。
柚葉父「それにしても、ついに二人がね……」
蒼依父「正直、高校卒業までに付き合うなんて思ってなかったよ」
蒼依「おい、親父……」
蒼依母「でもよかった、本当の家族になる日も近そうで」
柚葉母「そうね、将来が楽しみだわ」
柚葉と蒼依は赤面しながら互いに目を合わせる。
柚葉父「蒼依くん、娘を泣かせたら承知しないぞ」
蒼依「はい、もちろん」
蒼依父「柚葉ちゃんも、うちの蒼依をポイ捨てなんてしないでね?」
柚葉「ポイ捨てなんて……! しないよ!」
二人の返答に穏やかな笑みを浮かべる四人。
○深夜・柚葉の部屋
柚葉はベッドに横たわりながら、窓の外の月を見つめている。スマホの画面には、数日前に撮った蒼依とのツーショット写真が表示されている。
柚葉(きっと泣いてる蒼依に手を差し伸べたときから……私にとって蒼依は特別な存在だったんだろうな)
柚葉はメッセージアプリを立ち上げ、蒼依にメッセージを打つ。
『おやすみ、また明日ね』
すぐに返事が来る。
「おやすみ、良い夢を」
柚葉は幸せな気持ちで目を閉じる。手の繋ぎ方のような小さな変化はあるけれど、日常はさほど変わらない。普通の高校生の恋愛とは違うかもしれないけど、それが二人にとっての最良なのだ。
柚葉と蒼依が並んで歩いている。二人の手がそっと触れ合い、互いに照れながらも指を絡める。
柚葉「恋人繋ぎ……まだ慣れないね……」
蒼依「ああ……。でも念願叶ったって感じで俺は嬉しい」
柚葉(……今までの繋ぎ方より触れる面積は少ないのに、指同士が絡み合うからか凄く……凄くドキドキする。蒼依と付き合うなんて、一ヶ月前の私には想像もできなかったな……)
○昼休み・教室
柚葉と美咲が昼食を食べている。蒼依は仲の良い男子達に引っ張られ、教室の外で食事を摂っている。
美咲「で、どう?恋人としての高瀬くんは?」
柚葉「え!? なんで知ってるの!?」
美咲「なんで知らないと思ってるの? 校門前の告白劇を見た人が何人もいるし、なにより最近手を繋いで登下校してるでしょ、あんなの誰が見たって分かるわよ」
柚葉「うっ、確かに……」
美咲「それでどうなの?」
柚葉「うーん、特に今までと変わらないかな……でも……」
頬を赤らめる柚葉。
柚葉「蒼依の態度が他の人に対してとは違うってやっと分かった……。それに私も、蒼依の横顔とか見てるとドキドキするし……」
美咲「良かった」
柚葉「え?」
美咲「なんというか……あんたの場合、恋愛より先に『家族』に対する情を持ってたわけでしょ。だから恋愛感情にならないまま卒業するのかなーって思ってたから。正直きっと高瀬くんと付き合うんだろうなとは思ったけど、他に目を向けるのも良いんじゃないのって思って涼介を紹介したの」
柚葉は驚いた表情で美咲を見る。
美咲「なんで私の方が知ってるのかって? ……あんたの話題の八割に高瀬くんが出てきてるって気付いてる?」
柚葉「そうだったの?」
美咲「そうだよ。涼介と付き合ってる時もそんな感じだったし。高瀬くんが周りの男子を牽制しなくても、あんた自身が群がる男子を牽制してたの。だから涼介以外誰も告白出来なかったって、気付いてる?」
柚葉「えー、嘘!?」
美咲「ま、今更知っても関係ないだろうけど? 高瀬くんと別れるつもりはないんでしょ」
柚葉は恥ずかしさのあまり顔を両手で覆いながら、こくんと頷いた。
○夕方・柚葉の家の門前
下校する二人。柚葉の家の前で立ち止まる。
蒼依「じゃあ、またあとで」
柚葉「うん……」
名残惜しそうな顔の柚葉に、蒼依が少し困ったような顔をする。
蒼依「あのさ、そういう顔困るんだけど……」
柚葉「そ、そういう顔って!?」
蒼依「だから、こういうことしてほしそうな顔」
蒼依は柚葉の頬に優しくキスをする。
柚葉「……!」
蒼依「またな」
照れくさそうに手を振り、自分の家へと向かう蒼依。柚葉はまだ頬に残る温もりに触れ、幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。
○夜・蒼依の家のリビング
両家合同で柚葉の誕生日会が開かれている。
柚葉父「それにしても、ついに二人がね……」
蒼依父「正直、高校卒業までに付き合うなんて思ってなかったよ」
蒼依「おい、親父……」
蒼依母「でもよかった、本当の家族になる日も近そうで」
柚葉母「そうね、将来が楽しみだわ」
柚葉と蒼依は赤面しながら互いに目を合わせる。
柚葉父「蒼依くん、娘を泣かせたら承知しないぞ」
蒼依「はい、もちろん」
蒼依父「柚葉ちゃんも、うちの蒼依をポイ捨てなんてしないでね?」
柚葉「ポイ捨てなんて……! しないよ!」
二人の返答に穏やかな笑みを浮かべる四人。
○深夜・柚葉の部屋
柚葉はベッドに横たわりながら、窓の外の月を見つめている。スマホの画面には、数日前に撮った蒼依とのツーショット写真が表示されている。
柚葉(きっと泣いてる蒼依に手を差し伸べたときから……私にとって蒼依は特別な存在だったんだろうな)
柚葉はメッセージアプリを立ち上げ、蒼依にメッセージを打つ。
『おやすみ、また明日ね』
すぐに返事が来る。
「おやすみ、良い夢を」
柚葉は幸せな気持ちで目を閉じる。手の繋ぎ方のような小さな変化はあるけれど、日常はさほど変わらない。普通の高校生の恋愛とは違うかもしれないけど、それが二人にとっての最良なのだ。
