潮の香りの風が、新しい形にカーテンをふくらませた。
きみの笑むまぶたをも。

すっと右手を差し出された。意味がわからなかった。

「You're beautiful, too」

きみは僕の失敗を笑ったのではなかったのだ。
ただ、
僕のことをおぼえていてくれた。小さなラブストーリーを必死でつむぐ僕のことを。


2025.03.04
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