君の瞳の中で生きてみたくて


靴を脱ぐと、星野さんに続き、奥の光を頼りに恐る恐る歩いて行く。

すると、リビングの端に置いてある大きなタッチパネル画面で絵を描く男性の姿が見えた。

この人が月光さん?

思ってたより若い。
30代後半とか、そのくらいかなって思ってたけど、わたしとあまり変わらないくらいの年齢かも。

「下弦先生、お邪魔します。最終話の出来はどうですか?」

星野さんがそう声を掛けると、月光さんは「もう終わるから、ちょっと待って。」と言い、手を止めなった。

凄い、、、
片手で何か調整しながら、もう片方の手で描いてる。

その素早さにわたしはつい見入ってしまった。

しかし、暗い部屋に画面の光で浮かび上がるその横顔を見て、わたしは思った。

あれ?何か見たことある様な、、、

そして"ちょっと待って"から10分程待っただろうか。

月光さんが手を止め、やっとこちらを見た。

「下弦先生、お疲れ様です!完成しましたか?!」
「まぁ。」
「ありがとうございます!これで最終巻が出せます!あとでデータの方を、」
「分かってる。」

そう言って、月光さんはテーブルの上に置いてあったペットボトルのジャスミン茶の飲み干した。

男性がジャスミン茶飲んでるなんて、珍しいなぁ。

そう思っていると、星野さんが「で、下弦先生。紹介したい方がいまして!」と言い、月光さんは無表情でふとこちらを見た。