君の瞳の中で生きてみたくて


わたしの執筆の為のホテル生活が決まってから、何となく千空くんがわたしを避けているように感じるようになった。

そしてわたしの生活リズムに合わせるようになった千空くんだったが、突然夜型に戻ってしまい、わたしが起きている時間帯には寝ていて、わたしが寝る時間になると起きてきて仕事を始める。

毎日続けてきた夜の散歩もなくなり、わたしは寂しかった。

しばらく会えなくなっちゃうのに、、、
わたしは、千空くんと触れ合いたくて仕方がなかった。


わたしのホテル生活が始まる前日の夜。

わたしはホテルでの生活に向けての準備を済ませた。

そして寝る前に真っ暗なリビングで仕事をする千空くんの後ろ姿を見に行った。

あれから千空くんとは、挨拶くらいでまともな会話もしていなくて、もちろん触れ合いもない。

わたしは、振り払われるのを覚悟で千空くんに歩み寄って行くと、千空くんを後ろから抱き締めた。

すると、千空くんは何も言わずに絵を描く手を止めた。

「明日から、行ってくるね。しばらく会えなくなっちゃうけど、、、またここに帰って来てもいいかな?」

勇気を出して、わたしはそう訊いた。

千空くんはしばらく黙ったあと、「好きにしたらいいよ。」と言った。

"好きにしたらいいよ"、、、

それは、帰って来てもいいけど、帰って来なくてもいいってこと?

わたしは千空くんから離れると、込み上げてくる涙を堪え「おやすみ。」と言うと、寝室へと向かった。

そして、布団の中で堪えきれなかった涙を流しながら、寂しさの中で寝付くことが出来なかった。