君の瞳の中で生きてみたくて


それから2週間後、2巻目が完成して星野さんにデータを送った。

それと共にわたしの小説の書籍化についての打ち合わせの日にちが決まったのだが、思いもよらぬ展開になってしまった。

「えっ?ホテル生活ですか?」
「はい、つみき先生には集中して作品を書き上げていただきたいですし、打ち合わせをするにあたっても、うちの会社とホテルが近い方が効率的なので。」

電話越しにそう言ったのは、新しい担当者の新木さん。

わたしは、勝手に進められていたその話に戸惑いを感じた。

「でも、まだ3巻の作画のチェックが残ってますし。」
「それは担当の星野さんに任せましょう。3日後からホテルの一室を借りてるので、そちらの方での生活準備をお願いしますね。では。」
「あ!ちょっと!」

新木さんという人は、結構強引な人だった。

わたしは電話を切ると、小さな溜め息をついた。

「どうした?」

わたしの様子に千空くんが心配して声を掛けてくれる。

「3日後から、、、ホテル生活になることになった。」
「え?」
「あとの作画のチェックは星野さんに任せて、わたしはBB出版社の近くのホテルにしばらく泊まって執筆に専念することになった。会社とホテルが近い方が打ち合わせをする時、効率的だからって新木さんが、、、」
「、、、あいつ、強引な奴だな。勝手に決めやがって。」

低い声で苛立ちを感じる千空くんの言葉にわたしは落ち込んだ。

しばらく、ここでの生活が出来なくなる。
ってことは、千空くんにも会えなくなるってことだ。

わたしたちの間には、何とも言えない居心地の悪い雰囲気が漂ってしまった。