それから5日後。
1巻目が完成し、千空くんはデータを星野さん宛に送った。
すると、送ったその日のうちに連絡がきたのだが、またわたしのスマホに電話がかかってきて、わたしが「星野さんからだ。」と言うと、千空くんはムッとした表情でこちらに歩み寄ってくると、わたしに「貸して。」と手を出したので、わたしは千空くんにスマホを手渡した。
「もしもし。」
千空くんは苛ついたように低い声で言った。
「はい、これは桐生さんの電話ですが。でも、星野さん。連絡する時は僕の方にお願いしますって、メールで言いましたよね?」
そう怒ってる千空くんが何だか面白くて、わたしは密かに笑った。
千空くん、それは嫉妬してくれてるから怒ってるんだよね?
「はい、もう2巻目には突入してます。それじゃあ、また何かあったら僕の方に連絡をお願いします。」
そう言って電話を切った千空くんは、スマホをわたしに返してくれた。
「星野さん何だって?」
「早速、最終確認をしてから販売に向けて動きますって。多分、発売は来月の25日になるだろうってさ。」
「そうなんだ、、、。何かいざそう聞くと、緊張しちゃうなぁ、、、」
「大丈夫だよ。絶対売れるから。自信持て。」
そう言って優しく微笑む千空くん。
千空くんにそう言われると、本当に大丈夫な気がしてくる。
大丈夫だよね。
だって、千空くんが描いてくれた漫画なんだから。



