君の瞳の中で生きてみたくて


「はい、もしもし。」

わたしが電話に出ると、久しぶりに聞く調子の良い感じの口調で「どうも、おはようございます!星野ですぅ。」と星野さんが言った。

「おはようございます。」
「ご無沙汰しております。あれから、そろそろ2ヵ月経つんですが、今はどのような感じでしょうか?」

星野さんの言葉でわたしは驚いた。

あれから、2ヵ月も経つの?!
時間感覚がなくなってきているというか、時が過ぎるのが早すぎる、、、

「順調ですよ。そろそろ1巻目は終わると思います。」
「本当ですか?!それは素晴らしい!では、あと一週間もあれば完成しそうですか?」
「そうですね、このままいけば一週間もあれば大丈夫だと思います。」
「ありがとうございます!それは助かります!こちらも宣伝の方はバッチリなので!では、データお待ちしてます!」

そう言って、星野さんは電話を切った。

「電話、誰?」

突然の声に驚いたが、振り向くとそこにはまだ寝惚け眼の千空くんの姿があった。

「あ、起こしちゃった?ごめん!今、星野さんから電話きて、今どんな感じですか?って聞かれて。」
「何だよ、星野。俺には連絡してこないくせに、なごみには電話するんだな。」

少し不機嫌そうにそう言う千空くん。

千空くんは「今度から俺に電話しろってメールしとかないと。なごみには、他の男と電話してほしくない。」と言い、パソコンをいじり始めた。

えっ?それは、どうゆう意味?
他の男と電話してほしくないって、、、

嫉妬してくれてるの?

って、まさかね!そんなわけない。

ただ、自分に連絡がこなかったのが、面白くなかっただけだよね。