君の瞳の中で生きてみたくて


そして、わたしが冷蔵庫からミルクティーを出し飲んでいると、千空くんが「なごみ、ちょっと来て。」と呼んだ。

「えっ?何?」
「いいから。」

何だろう?と思いながら、千空くんのところまで行くと、「手、出して。」と言われた。

わたしは千空くんに言われた通り手を出した。

すると、千空くんはわたしの差し出した手を、手を繋ぐように握り締めたのだ。

「え?!何?!」
「いや、手を繋ぐと、どんな感じになるのかなって。」

そう言いながら、千空くんは色んな角度から繋いだ手を観察していた。

「ちょっと、少しこのままでいて。」

そう言って、千空くんはわたしたちの繋いだ手を見ては絵を描いてを繰り返していた。

わたしはその間、ずっとドキドキしていた。

男の人と手を繋ぐなんて初めて、、、

でも、これは千空くんが絵を描くための見本。

ただの見本、ただの見本。

すると、千空くんは「おっけ。いい感じに描けた。どう?」と言い、たった今描いた絵を見せてくれた。

そこには手を繋ぎ、笑い合う男女の姿があって、わたしはそれを見てほっこりした気持ちになった。

「うん!いい!」

わたしがそう言うと、千空くんは微かに嬉しそうな表情を浮かべ、わたしはその一瞬の表情にドキッとした。

「あ、じゃあ、わたし寝るね。」
「あぁ。引き止めて悪かったな。おやすみ。」
「おやすみ。」

そう言って、わたしは寝室へ向かい、ベッドに横になる。

わたしの左手には、まだ千空くんの手の温もりが残っていて、つい自分の左手を眺めてしまっている自分がいた。