この気持ち、今から君に伝えるね

少し汚れている校舎。

ぴかぴかの制服を着てクラス表を見ている人達。花びらが散り葉の多さが目立つ桜。


「ここが中学校…!」


そう私、山中華夏(やまなかここな)は今日から中学生!ワクワクが止まらないよ!


「華夏ー!正門前で写真撮るわよー。」


お母さんの声が頭に入る。

正門に行こうと顔をあげると正門前には写真撮影をする親子がうじゃうじゃと群がっていた。


「え、嫌だな。行きたくない。」


おっと、思わず本音が。

そんな重い体を引きずりながらようやく正門に辿り着くと思わぬ人物が視界に入り思わず足が止まってしまった。


「え…?綾乃(あやの)?」


掠れた声しか出なかったけど彼女には届いたみたい。私を見て固まっている。

そうして3秒ほど経っただろうか。

見間違えかと不安になっていた私は胸を撫でおろした。なぜなら彼女が私に放った言葉は


「華夏…!まさか同じ中学校だったなんて嬉しい!これからよろしくね!」


だったからだ。綾乃は小学生の頃にやっていた習い事の同期の1人。

でもあまり話してはいなかったから、この中学校なんていまの今まで知らなかった。


「華夏!早く来て!」


綾乃との再会の喜びを噛み締めていたら声が聞こえてきた。

立ち話もそこそこに私はお母さんの構えているカメラの画角に入り写真を撮る。

何枚撮ったか分からないけどお母さんからのOKサインが見えて、作り笑いをやめる。

作り笑いに慣れてないから表情筋全部が痛い。


「じゃあ行ってらっしゃい!お母さんは体育館に行くね。」


そう言ってお母さんは人混みの中に消えていった。

もう、人を振り回しておいて用が終わったらすぐ退散とか我が母ながら呆れてしまう。


「あ、やっと来た。待ってたよ!華夏は1組、私は3組!クラスは違うけど仲良くしよってことで一緒に教室行こ?」


私はクラス表を見て教室に行こうとしたが待ち構えていた綾乃に阻止される。気まずすぎないかその誘い…?


でも断る理由もないので2つ返事をして歩き出した。