そばにいるって、君が忘れないように



亮先輩が読んでいた本を閉じた。


「よかったぁ……」

 
私はその場にどすっと座り込んだ。

私は安堵した。
 
今日はいた。

ちゃんといた。


「どうしたんや!? 具合でも悪いんか?」とキングが駆け寄って来た。


「違うよ。ただ……安心したの」
 

私の目には涙が浮かんでいるだろう。


「安心?」と言って、優弥が不思議な顔をしている。


「昨日、みんないなかったから……今日もいなかったらどうしようって思って」

「そんなことかよ」
 

奥の窓際にいる創先輩が外を眺めながら言った。


「重要なことだよ! みんないないと、私、頑張れないから……」

 
みんなの顔を見た瞬間、暗い洞窟に温かい火の光が見えたときのように、よかったって安心感が心の中に広がった。

もう私は、五人なしでは生きていけないよ。


「そんな可愛いこと言うなって」と優弥が言った。




優弥side


「そんな可愛いこと言うなって」と言って、僕は誤魔化した。


だって、カバンに入り忘れた……だなんて言えないからさ。