そばにいるって、君が忘れないように

「はい……」
 

私は語尾が震えてしまった。


「ちょっとね、お願いがあるんだけど」

「……」

「ふふ。……連絡先が知りたいの」


その目が鋭くて、何も言えなかった。


「五人の」
 

そう彼女が言うと、私の頭の中にはあの大好きな五人の顔が浮かんだ。


「五人の連絡先ですか……私、知りませんよ」

「知らないなら聞いてきてよ。いつも近くにいるんだから、それくらい聞けるでしょ?」
 
 
何も言わずただ下を向く私に、彼女は強い口調で「返事は?」と言った。


「は、はい……」

「んじゃ、よろしくねー」
 

その人は鍵を指で回しながら教室を出ていった。

黒板消しを持つ手が、小刻みに震えている。

呼吸も乱れ、うまく息が吸えない。

 
今度の標的は確実に、私だ。
 
目をつけられてしまった。

あの人に逆らえば……どうなるかなんて容易に想像できる。