そばにいるって、君が忘れないように



「ねぇ、ちょっとトイレ借りてもいい?」と純斗くんが言う。


「あ、いいよ。トイレはそこの、右……え……?」
 

私の身体と脳は停止した。


え、何で分かるんだい? という疑問に体中が埋め尽くされた。


純斗くんは、私が場所を言う前にトイレがある場所へ向かって行ったのだ。
 
べつにショッピングセンターではないのでお手洗いのマークなどは付いていない。

初めてのはずなのに……。


「わぁー! 庭きれい」という優弥先輩の声で我に返った。

「《《そ》》《《う》》でしょ?」


その言葉に創先輩がびくりと肩を跳ねらせた。


「だ、大丈夫?」

 
笑いながら私が創先輩に訊くと「おう」と彼は意識がないような返事をした。「この名前ややこしんだよな」


私の部屋に五人が入るとやはり少し窮屈そうだった。
 
六人分の体温のせいか部屋の温度が高い気がする。


それとも私が緊張して暑くなっているだけ……?


「ぼくちゃん、中庭に行ってくる」と優弥先輩が言った。