「ほら、武ってやつだよ。のどかと仲良さそうだし」
「ああ、武ですか。別に仲いいってわけじゃないですけど」
「あいつには近づかない方がいいよ。のどかが嫌な思いをしちゃうかもしれないからさ」
「嫌な……思い、ですか」
「うん。まあ、いやな感じがするというか。ただの俺の勘だから、そんなに気にしなくてもいいよ」
知らない車が二人を追い越していった。
気がつくと、もう家の近所までに来ていた。
「あ、私の家、ここなんです」
亮先輩と歩いていると、家までの距離がとても短く感じた。
この時ばかりは、この家が他人の家ならいいのに、とさえ思った。
「じゃあ、また明日ね」
「はい。また明日」
亮先輩は私が玄関に入るまで帰らず、ずっと見守っていてくれていた。
翌朝、私が目を覚めた時にはいつもより30分寝坊していて飛び起きた。
「やばい、やばい」
慌ただしく準備をして慌ただしく朝食を済ます。
勢いよく家を飛び出した瞬間、私の目を疑ってしまった。
「え――」
そこには信じられない光景があった。
