そばにいるって、君が忘れないように



私にとって良かったのは、ちょっとだけ勉強ができたということだ。

中学生のときなんて友達がいなかったから朝から晩まで勉強ばかりしていたし、おかげで成績は学年トップ。

一位の座は譲ったことがない。

だから、進学先をここの高校に決めたときは担任の先生に驚かれたものだ。 
 
もっと都会にある優秀な高校に進学するべきだと強く推された。

しかし最後まで意思は曲げずに入学。
 
私の考えが浅かったのか、まさかの武も同じ高校だし。

これは腐れ縁ってやつなのだろうか。



隣にいる武を見る。
 
明日のテストにいちゃもんをつけている男子を横目に、椅子を少し後ろに傾けてゆ~らゆら、時計を凝視している。

早く授業終わらないかな、といったところだろうか。

顔だけでその人が何を考えているかが分かるなんて、だいぶ仲が良いんですね、なんて思ってしまうが、私にとってはそれが武なのでなぜが笑えてしまう。
 

私の視線に気づいたのか、武が顔をこちらに向ける。

声は発さずに「なに」と口を動かした。

私は、ふっと鼻で笑い、視線をそのまま窓の外へと移した。




休み時間の時間を有効に使おうと考えた私は、移動教室がてら単語帳を眺めながら歩いていた。


「のどか!」
 

階段を下っている最中に声が聞こえた。

踊り場にはキングが立っていて、こちらに手を振っている。

私は単語帳を閉じ、キングの方へ向かおうと足を動かした。



「──あっ!!」

 

そのとき、私は次の段に降りようとしたときに何かに躓いてしまった。

体重全体が前方にかかり、宙に浮く感覚がする。


やばい、転ぶっ……!