そばにいるって、君が忘れないように


そんな彼の笑顔に見惚れていると、後ろから長い腕が伸びて来た。

その腕はゆっくりと私の首に巻きついてきて、すぐ横からその腕の持ち主が顔を出した。


「おはよ、のどか」


純斗先輩だった。


今日も甘々純斗先輩だ。

おはようございます、と返事をしようと口を開いたときにはもう純斗先輩の口が耳元にあった。

 
「《《純斗》》でいいよ」


私の耳元で、そう彼が囁く。


「え……」


私の顔が熱を持ち始めた。


「でも年上なので……せめて《《純斗くん》》じゃ、ダメですか?」

「だめ」


私の耳のすぐ近くから心地のいい純斗先輩の声が聞こえる。


意地悪だ。

またブラックジュントなのだろうか。

純斗、と呼ぶしか選択権はないらしい。


私が困った顔をしているとまたもや耳元で「仕方ないなあ。くん付けていいよお。特別だよ?」と言った。


な、なんなんですか朝っぱらからぁ! 

糖分の過剰摂取です。

別に私たち付き合っているわけじゃないんですよ? 

これはもしかしたら遊ばれてるのかな。わたし、手の中で弄ばれてるのかな。



「純斗、てめぇ、のどかから離れろ」と目の前にいた創先輩が眉間にシワを寄せながら言った。


純斗くんは渋々私から離れ、創先輩の方に近寄った。


「やっほやっほやっほー!」
 

純斗くんのあとに来たのはキングだ。

彼と一緒に優弥先輩と亮先輩も一緒に来たようだった。


またもや五人に囲まれてしまい、我に戻る。


私はいったいここで何をしているのだろう。

こんな私がこんなイケメンたちに囲まれるなんて、もしかして私は死んでしまったのではないか。

ここは天国だったのか……。

だとしからいつから……なんて考えはどうでもよい! 

今はとにかく顔の端まで広がっている熱をとうにかしなくてはいけないんだっ!



今の時間帯は登校する人が特に多い。

その分、ジロジロも多いということだ。

ジロジロと、またジロジロ……。

私は、それに耐えられなくなり、みんなを置いて昇降口へと急いだ。


「ちょ、のどか?」


後ろで声が聞こえるが気にしてなんていられない。

私は上靴に履き替え、廊下に出た。


「うえぁ!」


私は驚きのあまりその場に腰から倒れてしまった。

どうしてか。

それは、私の目の前にはさっき外に置いてきたはずのイケメン五人がいたからだ。


「え、え、え、え、え??」


私は頭の整理が追い付いていない。