そばにいるって、君が忘れないように



声が届くか届かないかの距離にいた創先輩だったが、すっと顔を上げてまっすぐに私の方を見た。

目が合った。

はっとする。

その瞬間、私の顔が熱を持っているのを感じた。


創先輩は、カメラのレンズを一度私の方に向けた。


あ、撮られた。


カメラを下ろした彼は、手を振りはしなかったが少しだけ上に上げる素振りを見せた。


さては創先輩、照れてるな?


信号が青に変わった後、私は彼のところへと足を早めた。

私が挨拶をすると「おはよ」と先輩は冷たくも優しく言った。


「今は、創先輩一人なんですか?」

「ああ……おい、オレだけじゃ不満か」

「え?」


いやいや、と首を横に振って必死に否定する。


「いつも五人でいるイメージがあったので、ひとりでいるのは珍しいというか……」

「あ、そういうことね」


すると、創先輩は微笑みをうかべた。


「よかった。俺、嫌われてるんじゃねぇかって思った……」


創先輩の切り目はいっそう細くなり、いつもは見えない綺麗な白い歯が見えた。

表情を一切崩さない創からは想像もできないような、優しすぎる笑顔だった。。


創先輩、反則だよ……。