そばにいるって、君が忘れないように


「え、なに、非常に気をつけてって?」


今まで見たことも聞いたこともないようなアドバイスに困惑した。


まあ、とにかく周りをよく見て、すべてに気をつけていればいいってことでしょう。


私は心の中で今日の占いにツッコミを入れながら、玄関の扉を開けた。



学校の校門の前の交差点で信号待ちをしていると、青々と繁っている桜の木の下でカメラをいじくっている創先輩の姿が目に入ってきた。

今時スマホも見ないでただひたすらカメラを見ている。

きっと今まで撮り貯めていた写真たちを一枚ずつ眺めているに違いない。
 

彼のアーモンド色の前髪が風に泳ぐのを私はただ見ていた。

綺麗に通った鼻筋に薄めの唇、長い首の下にはワイシャツの第一ボタンを開けているせいで見える鎖骨。


──ドクン


胸が高鳴った音がした。


今ここで創先輩のことを呼んだら、先輩、どんな顔をするのだろう。

少し気になった。


いいや、クールな創先輩だ、きっと無視するはずだ。

 
「創先輩!」


手を大きく振って彼を呼んだ。

無視をされる覚悟で呼んでみた。

無視をされたらまたキングに抱きつきに行けばいい。

ここにキングはいないのだけれども。