そばにいるって、君が忘れないように


亮先輩は戸惑いながらも口を開けた。

おばあちゃんの甘い卵焼きを彼の口の中に入れる。

彼は何も言わずそれを食べた。


「どう、おいしい?」と私が訊くと、甘くておいしいよと言って彼は頷いた。


「だめですよ、しっかり食べなきゃ。保健の授業で習いませんでしたか、ご飯は大事だって」

「習ったような……習っていないような……」と彼はとぼけた。


「絶対に習ったよ、絶対に」


私を見て、ふふっと亮先輩は笑った。


「どうしてそんなに必死なの」


そう言って私のおでこを指で押した。


「別に……必死じゃないですけど、ただ、体を大事にしてほしかっただけです」


私は最後の卵焼きを箸でつまんで自分の口に放り投げた。


「ありがとう」


亮先輩はまだ微笑みを浮かべている。


「次からは食べるようにするよ」
 

私は頷いた。


「あ……そういえば、亮さんたちって、二年生ですか?」

「え? ……うん」

「何組なんですか?」


そう訊くと、彼は目を泳がせた。