そばにいるって、君が忘れないように


驚いたようにキングは私のところに走って来た。

私はすかさずキングに抱きついた。

 
恥ずかしさから逃げる場所が欲しい……。
 

だから、なにしても許されそうな、一番気楽に呼べるキングを選んだのだ。

 
私には、抱きつく癖がある。
 

泣きたいとき、苦しいとき、不安なとき、恥ずかしいとき……。

なにかに抱きついていないとだめになるときがある。 
 
こうなったのは、たぶん家族の影響があるんだと思う。
 
なにかあるとすぐ抱っこする習性があるから──。


「エ、ノドカ?」

 
キングはカチコチになった声で言った。


「純斗先輩が……いじめてくるの」
 

キングの服に顔を押し付けたままにして私が言うと「おい、純斗、のどかをいじめちゃだめやろ」とキングが言う。


「えへへ」
 

純斗先輩がかわいらしく笑った。


「純斗な……たまにブラックジュントが出てくるから」と亮が言う。


それを聞いて、優弥先輩が、あるある。ブラックジュント、と頷いた。


「ブラックジュント……」


 私が見たものは、ブラックジュントだったのか。