遠くからどうやら呼ぶ声が聞こえる。
これは私を呼んでいるのだろうか。
この場所には私以外だれも歩いていない。
私は足早にその場所へ向かう。
「のどかー!」
野原のど真ん中には、ぴょんぴょん跳ねながら私の名前を叫ぶ五人の人たちがいた。
私の名前を呼ぶ声に、はいはい、と心の中で返事してしまった。
なぜか口角が上がってしまう。
なに笑ってんの、と手で押さえても、負けじと口角がぐうぃーんと上がってくる。
野原へ、できるだけ早く、足を動かす。
できるだけ早く着くように。
しかし、ギブスを外したばっかりで体の自由はなかなか利かない。
私が着く前に、純斗先輩がこちらまで走ってきた。
「のどかー!」
「純斗先輩」
近くに来た彼を見上げる。
「歩くの、まだ辛いでしょ」と優しい言葉を私に放ったあと、よいしょと言って私を軽々しく持ち上げた。
いわゆる、お姫様抱っこってやつだ。
「え? え、えっ?」
「静かに」
