そばにいるって、君が忘れないように



私が通う高校は、都市から離れたところにある。

田んぼがあって、青々とした草があって、

どこまでも広がる澄んだ空があって風があって、

小さな草花が揺れる、そんな場所。

殺風景なのかもしれないけれど、私にとってはとても心地良い。

なんて言ったって、ここは私のおばあちゃんの家がある地域で、昔からこの風景には馴染みがある。

だから自然と心が落ち着くのだ。


自分の家から高校に通うのはあまりにも距離があって大変なので、おばあちゃん家から通うことが家族会議にて決定した。

だから、高校三年間はおばあちゃん家に住むことになる。


でも良かったな。

私、おばあちゃん家が好きなんだよね。


築二百年のおばあちゃん家は、昔ながらの歴史を感じる雰囲気があって、中央には走り回れるくらいの中庭がある。

そして、この家には家族以外誰も知らない秘密がある──。