そばにいるって、君が忘れないように


なんだ……やけに優しいじゃん……。

逆に気持ち悪いほど、だけど。


私はふふと笑ってしまった。


「なに笑ってんの」

「いや、なんか優しいなと思って」
 

武は頭をポリポリと掻いて、早く歩けと言った。


もう素直じゃないんだから。

昔から武はこういう人だった。

私が困っているといつも助けてくれた。

あの空白の三年間がまるでなかったみたいだ。


「あ、そういえば、この前いた人と仲いいの? あの……男の人」


私の歩くスピードに合わせて武も一緒に歩いている。


「この前の?」


何のことだろうと思っていたら、ふと思い出した。


「あ、亮先輩のこと? 仲いいっちゃ仲いいって感じかな」


ふーん、と言って武はそっぽを向いた。

ふと周りを見ると同級生の女子たちが通りすがりに私たちのことをじろじろと見ていることに気がついた。


あ……これはいけない状況では? 

あんなブスが武くんの隣をなんで歩いてるの、みたいな感じだろうか。

あの表情的にそんな感じがした。


私は出来るだけ速く移動しようと思って、ペースを上げて松葉杖を動かす。


「おいおい。ゆっくりでいいって。転んでも知らないからな」と何も知らない武が隣で呑気に言う。

「う……」


私はペースを落とし、できるだけ顔を上げないようにしながらと前に進んだ。