そばにいるって、君が忘れないように


ゆっくり、私の右足を優しく曲げていく。


「うーん……痛く、ないと思います……あっ、痛いです」

「病院に行った方がいいと思うよ、一応」

「ですよね……行ってみます」



病院から帰ってきた私はおばあちゃんに支えられながら家に入った。


「はい、下に気をつけて、転ばないでヨ」

「分かった……ていうか、骨折はしなくて良かった」 


骨折まではいかないまでも、完全にヒビが入っていたのが病院で判明した。

痛みを数日間耐えていた私はなんて鈍感なんだろうと思った。





こんなギプスしている私が廊下を歩いていようと友達なんていないからそばに駆けつけつくれる人などいるわけがなく、私は一人で教室へ向かい、一人で席に着いた。


きつい。

普通に歩くことがなんと楽か。

この時点でだいぶ息が上がっている。




「これを展開した式は……じゃあ、誰に答えてもらおうかな」と言って数学の先生が教室全体を見渡す。


この声にクラス全員が下を向く中、私は間違って顔を上げてしまい先生と目があった。


「はい、のどか」


その一言に、クラス中の人たちが安心モードに入ったのがわかった。


「はい……えー、2a²+13ab+15b²……です」

「うん、いいな、正解だ」


なんなのよ……目が合った人を当てないでほしい……。


なんか先生ってそういうところない?

挙手する人がいないと、目が合った人を当てるって。

先生あるあるだよ。

まあ、今回はたまたま分かってたからよかったけど。


気晴らしに外を眺めた。