そばにいるって、君が忘れないように

優弥先輩が徐に私の方へ寄ってきた。


「はい、これ。忘れ物」  

 
見ると、彼は私のペンケースを持っていた。

少し厚い唇を横にのばしてにっこりと笑っている。


「え! ありがとうございます。探してたんです」
 
「渡すの忘れてた」


彼は唇をもっと横に伸ばし、白い歯を見せて笑った。


私はベンチに座る。


「はぁ……やっぱり痛いな……」


私は右手で右足全体をさすった。

この前転んだときに酷く痛めてしまったらしい。

骨折はしていないと思ってはいたんだけれども、痛みが全く治まらないのだ。


「足、痛いの?」と心配そうに優弥先輩が言う。


「あ、その、転んだときに痛めちゃったみたいで……」

「なるほどね」


すると彼は私の目の前に屈みはじめた。

そして、私の右足をゆっくり持ち上げて動かしたりしている。


「え、え。何してるんですか」

「どう、これは痛い?」