そばにいるって、君が忘れないように



「嘘でしょ。虫でも入ってたりしないよね……」


私は大の虫嫌いだ。

小学校のときのプールの授業中、前の人の肩にバッタがのっていて、それにそのバッタがこちらを向いていることに気づいた私は、悲鳴をあげながら、プールサイドからプールに飛び込んだ思い出がある。

今思えば、あのときの飛び込みが今までの人生の中で一番上手な飛び込みだった気がするけど……。


はあ、なんとも恥ずかしい。


虫の中で一番嫌いなのは、カマキリ。

あの気持ち悪い大きなきみどり色の目を見た瞬間、自分の目を捨ててしまいたいほど嫌になる。

脳裏にカマキリの目が残像として残って私の脳内から離れないあの感覚もいやでいやでしょうがない。


私は、おそるおそる中を覗いたが、中には虫一匹も入っていなかった。

別に何の問題もない。

大丈夫。


そのはずだったが……。


「あれ……あれ? やばい、国語の教科書忘れたかも」


焦りに焦って、カバンの中をかきまわして探すが、やっぱりない。


終わった。
終わった。
終わった。
終わった。
終わった。

どうしよう。

国語の先生が一番怖い先生なのに……。