そばにいるって、君が忘れないように




「知るわけないよね、俺たち先輩だし?」と亮先輩が私の顔を覗き込みながら笑って言った。


「僕はねえ、純斗(じゅんと)って言うんだけど、知ってる?」


かわいい系男子が創先輩の真似をして尋ねてきた。


「だから、知らないってば」と亮先輩が私の代わりに答えた。


「のどかに聞いてるのぉ! 亮は、のどかじゃないでしょ?」


純斗先輩が鋭い目を亮に向けている。


「ついでに、俺は──」


亮先輩が自分の名前を言おうとしているので「亮、でしょ?」と私が即座に言うと、亮先輩はえっ? と言って固まってしまった。「なんで知ってるの?」


「だってさっき、じゅ、純斗先輩が《《亮》》って言ってたから」


そう言って、私はみんなに笑ってみせた。


「なんだよ、びっくりした」


ほっとしたのか、亮先輩はベンチに倒れるように座った。


「俺そんなに有名人なのかと思ったわ……焦ったー」と笑っている。


私が自分の腕時計で時間を確認すると、昼休みは残り十分というところだった。


「え、やばい! あと十分しかない」