そばにいるって、君が忘れないように



この顔面の暴力の集まりはなんなんだ……!? 

私は、世界線を間違えたかもしれない。


「のどかはなんで――」と登場したばかりのクール系男子が口を開いて、なにを思ったのかすぐに口を閉じてしまった。


はにゃ?

のどか? 

私の名前を呼んだ?

私の名前、なんで知ってるの?


そんな疑問が頭のなかでふわふわと浮遊する。

かわいい系男子と亮が目を大きくしながら、ちらっとクール系男子の方を見た。


「のどか、だよな? 名前」とクール系男子が私に尋ねてきた。


「そうですけど……なんで私の名前を知ってるんですか?」

「あ、えっと……入学式のときに呼名されてただろ。たまたま、それで君のこと覚えててさ」と、彼が言うので、ずいぶん記憶力が優れているんだな、と私は思った。


私なんて、同級生の名前を一つも記憶していないのに。


「オレ、(そう)って言うんだけど、知ってる?」とクール系男子が話題を変えるかのように言った。


「知りません」


私は、ぶっきらぼうな言葉を彼に投げつけた。

この高校に登校してまだ二日目。

武以外の誰のこともまだ知らない。