そばにいるって、君が忘れないように

俺はもう一度口を開いた。

みんなは急に黙って俺のことを見ている。


「俺ら小人は、恋したらいけないって、知ってるよな?」

 
みんな、黙り込んでしまった。
 
 

これは遠い昔のことだ。
 
守護している人間の女性に恋して、両想いになった小人がいた。

その小人は、人間の姿に化けている間は本当の人間のように恋をして、恋愛をしていた。

 
だがある日、小人は彼女のそばを離れなければいけなくなったそうだ。

その理由は、小人の根源である住居がなくなって彼女の元から消えなければいけなくなったのではないかとか、いろいろ言われてはいるが、本当のことは分からない。

ただ彼は、何も言わず彼女のもとを去ったそうだ。
 
愛する人を失ったその女性は、自ら自分の命を捨てた。
 
彼女の場合、彼のことは覚えている状態であったが、稀に記憶をなくす人もいるとかいう噂を耳にする。

 
こんな話、ひとつやふたつじゃない。
 
だから、小人の中で、恋はしないことが暗黙の了解なんだ。