そばにいるって、君が忘れないように

武はいつまでもそこに立ち竦んだままだった。

 

私と亮先輩は二人で田んぼ道を歩いていた。
 
夕焼けが私たちとそのまわりを染めていた。


「亮先輩」

「うん?」

「本当にありがとうございます。もし亮先輩が来てくれなかったら、どうなっていたか分かりません」

「うんうん、いいよ。ただ俺はのどかが無事でよかった。あのままだったらアイツ、のどかのこと殴り出すんじゃないかって思って。気づいたら勝手に体が動いてた。あと口も」

 
この日の夕日は限りなく澄んだオレンジ色で眩しかった。

 少しの間、沈黙が続く。

聞こえるのは歩みを止めない私と亮先輩の足音だけだ。


「亮先輩って彼女いるんですか?」

 
私は唐突に話し出した。
 
前を歩く亮先輩の背中が夕焼けで眩しくて見えない。