私は照れているのを隠しつつ、くずれてしまった前髪を整えて、もう一度ベンチに座った。
「君、一年生でしょ?」と、彼が背中越しに話しかける。
「はい、そうですけど……」
『そっか……じゃあ、これからいろいろと頑張んないとだね』
突然低い声が私の耳に届いた。
さっきまでの声とは全然違う。
全てが、がらっと変わったような、そんな感じだった。
「はい、そうですね……ん?」
私は不思議に思い、後ろを振り向いた。
「え、えっえっ!?」
そこにいたのは、さっきまで話していたかわいい系の人ではない別の誰かがいた。
アアアアバキュラッ! あんた、誰よ!?
心の声が漏れそうだったので、必死に蓋をした。
「だ、誰ですか?」
「誰って……」
彼は、少し長い黒い前髪を目にかすらせて瞬きをする。
驚いているようで、困っているようだ。
優等生という雰囲気を感じされる彼もまた、とんでもない美男子だ。
