そばにいるって、君が忘れないように



びくっと体を跳ねらせて振り向くと、すぐ近くに人の顔があった。


「うわあああああっ! ななな、なにっ!?」 


私は驚きのあまりすぐさま立ち上がり、ベンチから離れた。


もうちょっとで私のファーストキスが奪われるくらいの近距離……! 

え、なに、急に何!?

まじで奪う気だったとか言わないよね!?


「あはぁー。こんなことにいる人初めて見たからぁ、気になっちゃって!」


その人は、かわいい系の男子で、その顔は中性的な印象を与えた。

茶色味がかっている髪が眉毛にかかっている。

彼は、ベンチの後ろから身を乗り出して私のことを見つめて、そして、くしゃっと笑った。


ズキュン!


なんだこの天使みたいなイケメンは……。  

この笑顔なんて見たら、女子はイチコロだろうな。

こんな美男子としゃべるのなんて初めてだよ……どうしよう、このまま逃げ出す?

もしこれが恋愛シミュレーションゲームというやらだったら、その選択ではハッピーエンドには繋がらない!