そばにいるって、君が忘れないように




ほら、武に興味がある女子なんてたくさんいるんだって。

あーあ、怖かった、さっきの女子の目。

あの目はきっと針を飛ばす目だなぁありゃあ。

さっさとあっち行ってよ!みたいに私のことを睨んできてさ。

そうやっていろんな女子に毒針をとばしてるんだわさぁ。

そういうのが苦手なんだよね。

ザ女子って感じがして。

うん、ザ女子。


結局、一緒に昼食を食べる友達もいないので、仕方なく私は外に出て人目につかないような場所を探した。

ちょうど校舎の裏側にベンチを見つけた。

ここなら人が来ることもなさそうだ。


「よいしょっと」


私はベンチにドスっと腰かけた。


「よし! おばあちゃんの料理だぁ」


私は、そうつぶやいてほほ笑んだ。


これから毎日おばあちゃんのお弁当を食べることになる。

私は、おばあちゃんの手料理が大好物で、煮物、佃煮、厚焼き卵、たくあん、炊き込みご飯、もうすべて好きだった。

だから、おばあちゃんの手料理を食べれるこのお昼休みだけが、学校での唯一の楽しみになるだろう。


「やった、お煮付け入ってる!」


心の声が漏れだしてしまった。


すると、
 

「ふぅ~」という声とともに私の左耳に風があたった。